2008年06月24日

月光条例(1) / 藤田和日郎

月光条例 1 (1) (少年サンデーコミックス)
月光条例(1) / 藤田和日郎

数十年に一度、真っ青な月の光が地上に降り注ぐと、「おとぎばなし」の世界に異変が起こる。月光によって凶暴化した「おとぎばなし」の登場人物たち。難を逃れた鉢かづき姫は、現実世界の人間に助けを求めるのだった。喧嘩っ早く、思ったことを素直に口にできないひねくれ者の主人公・岩崎は、幼馴染の少女・エンゲキブが読んでいた童話の本によって、この騒動に巻き込まれてしまう。

サンデー連載スタートを聞いてから待ち続け、ようやく一巻発売となりました。
今回は「世界の童話新約」「全年齢対象」!

鉢かづき姫、はだかの王様、三匹のこぶた、一寸法師、と和洋かかわらず寓話を題材としつつ、それらを巧みに繋ぎ合せながら物語が進行していきます。登場人物の台詞やモノローグによって、キャラクターの性格やストーリーの枠組み(月光条例についてなど)を重ねているのが若干くどいような気もしたけれど、それ以上に登場人物が魅力的なので、いやな感じはしませんでした。或いは、モノローグの多用は「おとぎばなし」を題材にしているせいでしょうか。

自分は童話の持つ教訓や普遍性に触れると、何故かお尻がムズムズしてくる人間なんですが(勧善懲悪とか)、主人公を素直になれない、捻くれ者としたおかげでうまく緩和されていると思います。弱いものに手を差し伸べてしまう、その真っ当さは眩しい。正義を振りかざすだけなら、つい目を逸らしてしまうはず。けれど彼は言葉にはしません。

藤田作品にはシャイな人物が頻繁に登場しますが、今回は顕著ですね。ただ、おじいさんの店の手伝いを優先させたりと、弱きを助けるだけの人物ではない、というところが気になります。また異変は「猛き月光で正す」しかない=(現段階では)力による解決のみとなっており、今後もし主人公が力を発揮しない・できない場合はどうなるのかも気になるところ。また世界中にあるはずの絵本で、現れるのが日本の主人公たちの近くばかり・・・では、ご都合主義になりかねないわけで、そのあたりの理由づけも楽しみ。

それから、主人公のシリアス顔が反則なくらい男前です。
大きく取られたカットだけに、吸引力が半端じゃない。助けて貰った礼を言う相手を邪険にしながら、駆けていく彼らを見送る横顔には、慈愛と安堵が窺えます。と同時に切なさを感じて、久し振りにぐらっときました。

正直出だしは文章量が多くて読みにくい印象だったんですが、三匹のこぶたあたりから、藤田作品特有の熱も出てきました。ああ、やっぱりこうでなくちゃ! ドキドキワクワクこそ少年漫画の醍醐味!

新しい物語のはじまりに立ち会う。
漫画読みで本当に良かった。


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