2009年10月03日

ばらかもん(1) / ヨシノサツキ

ばらかもん 1 (ガンガンコミックスONLINE)
ばらかもん 1 (ガンガンコミックスONLINE) / ヨシノ サツキ

イケメン若手書道家が、日本最西端の島にやって来た。都会育ちのぼっちゃんと、島の人々が繰り広げる、ちょっと変わった日常コメディ。

書道の受賞パーティーで、権威の先生を殴ってしまった半田。書道界から爪弾きにされ、父親のつてでこの島へやってきた。島の人たちの大雑把さと豪快さに驚き、戸惑い、苛立ち、やがてペースに巻き込まれていく。

もともと半田自身おぼっちゃん然としていて、どこかぼーっとしているところがある。小学生の「なる」に追いかけ回されても、怒りながら、字を褒められるとつい甘くなってしまう。村人たちに自分のテリトリーが侵されることを厭う一方で、寂しさや不安を吹き飛ばす彼らの豪快さに救われてもいるのだ。管理人さんから貰っている昼夕の差し入れを、人から指摘されて、初めて申し訳なく思ったりする。そのクセ「島に来たら良い字が書けると思った」と子供たちの前で言ってしまったり、どこか図太くて、人に甘くて、子供のような人。

その一方で、自分の書道について、父親や先生から「平凡」「型に嵌まっている」と言われ激怒するほど、書道に対しての想いは深い。島に来て初めて出した作品が、年下の書道家に敗れてしまったときも、もっと練習するべきだったと激しく悔いる。「なる」が暴いたのは、それまで隠されていた、半田の自室だった。書いては乾かし、また書いては乾かし、乾く間もなく更に重ねられた紙に埋めつくされた部屋。床壁天井と言わず、部屋一面に何重と張られた半紙には、半田が無我夢中で書道に向かう姿が浮かぶ。

半田が字を書き続けること、頑張っていること、誰にも負けないもの、友達のこと、夕日が綺麗なこと、大人の事情はわからなくても、大事ななにかを心でわかっている「なる」は、邪険にされようが、これからも半田から離れないだろう。

「書道家の前に、人間として欠けているものがある」
父親の言葉を、半田が理解できるまで相当な時間が掛かるかもしれない。あるいは本人が気づかないうちに、育っていく可能性もある。小学1年生の「なる」と、23歳の半田。島の人たち。いつの間にか出来上がった信頼関係が、これからどんな日々を乗り越えて、どんなふうに変わっていくのか、とても楽しみ。

もちろん、島の人たちみんな懐の広い人たちばかりではないはず。
ヒッチハイクでなかなか止まってくれない車。「なる」のおじいさんや餅拾いのスペシャリスト(笑)ヤスばあ、島でも有名な人たちがまわりにいることで、他所者の半田が島に受け入れられたんだろうと、想像がつく。そして、半田が「いつか帰って行く人」だということも、村人たちはわかっているのだろうと。

とはいえ、基本コメディ、ギャグ風味なので、人間関係のドロドロはさほど見なくてすみそうなので、込み入った話が苦手な方にもオススメ。島のでっかさ、人々の豪快な気質を、「なる」を筆頭に楽しめる作品だと思います。あと、半田も(普段はヘタレですが笑)やるときゃやる男って感じで、ギャップが良いです。

ほんわか、笑える、基本ドタバタ、ちょっと泣ける。
「なる」の笑顔、最強!
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