2011年10月02日

BLOOD-C 12話 わすれじの

「忘れじの行く末まではかたければ 今日を限りの命ともがな」
未来永劫変わるものなどないと信じることはとても難しい。それでもこのときこの瞬間の想いを留めておこうと思うくらい許されても良いのではないか? 委員長が言ったとおり、洗脳状態の小夜も小夜の一部であったとしたら、少なくとも文人の賭けは半分成功したと言える。

この作品でなにがしたかったのか。
やはりここで何度も書いているとおり、「小夜がなぜ人間を守る側になったのか」というBLOODシリーズの根幹部分にメスを入れたと、わたしは思っています。(まあ、これは以前からわたし自身の疑問であるせいかもしれませんが)

そして解は映画に持ち越されました。
予告の「復讐」とは、文人へ対する小夜の感情なのか。
しかし彼女がなんのために復讐するのかがわからない。
人間を守ることを約束させられ、しかも餌と呼んで人間を古きものに与えていたことへの怒りか。人間を守れなかったことへの悲しみか。血を使われて唯芳含め古きものたちを使役していたことへの憤りか。文人たちに捕えられた過程もわからない現状では、小夜が人間を守る側・政府の側に立つまでの流れが見えてこない。
一番欲しかった答えが持ち越されてしまった。
しかも来年の6月公開予定とか、お、覚えてられる自信がない!!

さてこれまでの考察との齟齬だけ記しておきます。
自戒のために。ついでに残っている謎も覚え書き。
以下、長文です。

1)小夜の力が半減している
文人側によって大量に血液が抜かれていることが原因。しかし「人間を殺せない、殺せないなら守る」という契約によって、記憶とともに一部封印されている可能性は残ったまま。この契約は文人に捕まる以前からなされていたようで、小夜が誰と結んだものか、文人にもわからない様子。小夜の戦い方が稚拙だったのは、やはりわざとでしたね。本気の小夜の最強ぶり半端ない。

2)小夜の同族はいるのか、いたとしたらそれは誰か
文人か四月一日かと想像。半分人間半分古きものだった唯芳がそれに近い描かれ方だったが、真相は持ち越し。文人の、双子や時真への若さに対する言及に、またつい勘ぐってしまう。

3)唯芳って結局なんだったの?
文人が言った「小夜を捕まえるための彼をまず手に入れて」の彼は、唯芳を指していたのか? 半分とはいえ人間の血が入っているなら、小夜には切れないはずなんだけど。あの光が見えた瞬間バッサリいったところを見ると、やはり小夜の封印の元はあの刀なのか。小夜の捕獲のとき文人のそばにいたのは、やはり唯芳だったか。あのときはまだ小夜の血はないはずなので、なにかを条件に従っていたのでしょう。或いは、人間と古きものが交わって生まれた・・・って、それまさかあんたたちが作ったってキメラ的な意味じゃないよね?

とにかく、これまで人間を(約束を)守れなかったという事実に苦しんでいた小夜が、唯芳の死を悼んで涙した、というのが最大の変化だと思います。それを見ずして文人が背を向けたのは意外でした。

4)朱食免を使い古きものを管理する任務によって、文人は動いていた
古きものがなぜ文人の言いなりになっているのか疑問だったのですが、小夜の血液によって使役されていました。大量に抜かれた血には二重の用途があったのですね。また、小夜をコントロールしたがっているのが人間側であることも明かされ、小夜の意思に関係なく、朱食免と天敵の小夜を使って古きものを更に抑制しようとしていました。

前回登場した護符・鈴、今回登場した呪の仕込まれた鏡などを見ると、CLAMPだなあとしみじみ思うわけだが(笑)、相当の術士がついていると考えるべきか。彼自身が使い手なのかは不明。(普通に術士とか呪いと単語が出てくるあたりCLAMP病だと我ながら思う。大好きなのCLAMP)

鏡を割った途端飛び出してきたやつは、人間を食べることより、人間で遊ぶことを優先していた。真っ二つにされて大量に血液を放出しても復活したことを鑑みると、古きものではないように思う。まさに化け物。不要なエキストラを掃除するために、人間が作ったものに思えてならない。やつらを作った者が文人側にいるはず。

5)文人は何者なの?
東京都知事云々はもうなんというかやりすぎな感満載なのですが、まあCLAMPだから仕方ないwww 古きものの怖さはわかっていると言っていたくらいですし、小夜を手に入れるだけでなく、彼女をコントロールして人間を守らせようと画策している、この強かな貪欲さは人間特有でしょう。他者に関わらない古きものと違って、小夜に対する文人の執着は、とても人間らしいと思う。実験にせよ、彼のやり方には深い業を感じます。もっと合理的なやり方があるはずなのに、何故この方法を選んだのかと問われたら、「こっちの方が面白そうだったから」とかサラっと言いそうなところとか。そんな空気感が、彼を人間でありながら人間でないように見せているのかなと。

6)誰がなにを四月一日に願ったのか
小夜と交わした、「小夜自身が変わらないこと」が願いでした。
これあっさりしてましたが、新しい謎が増えましたね。

注意:実際あの犬が四月一日とはハッキリ描かれてないんだけど、「願いを叶える店」の話と中の人からほぼ確定させてしまっています。HOLiCネタバレ(侑子さんが戻ってくるまで店主となった彼が、長い年月その仕事を引き継いでいることと合わせると、小夜と同じくらいの年月は生きていそう

7)「変わらないこと」とは、なにを指しているのか
ポイントは、文人に捕まる前に願った、という点です。
話の流れから、つい実験によってコントロールされないように願っていたのか、と誘導されかけましたが、文人に捕まることを予期できたとは思えませんし、ましてや事前に実験の内容がわかるはずもないのでこれは却下。「人間を食べない、だから守る」という契約そのものが願いなのか? しかし個人の資質を変えるほどの願いは、大きすぎると思います。では契約が破られないように、未来永劫変わらないように願った、というのもなんだかしっくりきません。

8)小夜の意思はどこにあるのか
前回期待した点はうやむやのままになってしまいました。7)で上げた、不変を願うほどの自分自身、小夜がなにを指して願ったのかは、映画で明かされることでしょう。やはりここでも、「小夜がなにものであるか」という謎にぶつかってしまいます。

9)願いはわかりました。では対価はなんだったのか
四月一日の存在からHOLiCの設定そのままを踏襲しているはずので、彼女の願いが本当の意味で明かされたとき、対価も、どうしてそうなったのかもわかるはず。


結論。
前回立てた予想
残る謎が「四月一日が誰の願いを叶えるために小夜の近くにいるのか?」のみと言ってよい状態なので、HOLiCもすでに映画化してますし、四月一日の存在と願いをまとめて映画まで引っ張る気でいるなら

がまんまと当たってしまったわけだ。

四月一日の存在がなければ、BLOODシリーズを描けなかったのか、という大きな問題を孕んだまま、来年の6月を待たねばなりません。四月一日の存在がなければ、BLOODシリーズを描けなかったのか、という大きな問題を孕んだまま、です。大事なことなので二度言いましたよ? もしわたしの予想どおり、「小夜」という存在自体にメスを入れるつもりだったなら、他作品から設定を引っ張ってくるのは反則だと思います。BLOODとHOLiC両方のファンとしては、腹立たしいというよりも、とても残念な気持ち、というのが正直なところです。

間違えないで頂きたいのは、決して批判ではないということ。
丸々3話なにも描写しないことで、視聴者に注意を投げかけ続けた手法は、本当に凄いと思います。漫画や小説ではよくありましたが、ここまで徹底されたことは評価されるべきです。だからこそ、残念なのです。ここまで手の込んだ演出を取ったのに、どうして他作品の設定を(本人が関わっているとはいえ)持ち込んでしまったのか。できることなら違う方法でこの結論が見たかったです。驚きの手法に期待が膨らんでしまった。勝手な言い分ですね。スタッフのみなさんごめんなさい。だから期待外れとは言いません。ただHOLiCの設定がなくても、出来たのではないかと言いたいのです。もっと凄いこと出来たんじゃないのって。予想外の結果に、寂しい気持ちと言った方が適切かもしれません。

不満ばかりで終わるのももったいないので。
全体的に考察しがいのある作品だったと思います。雰囲気づくりが上手いというか。繰り返しを描くことで世界が修繕され続けていることを3話使って描き、7話にしてこの町が隔離されていることを示し、11話では主観の反転まで体感させられ、特に11話は久しぶりに鳥肌が立ちました。疑り始めると際限がなくなるあたり、漫画考察に近かったかもしれません。実際、考察というより妄想で補うみたいなところもありましたが(笑) あとは視聴者が答え合わせしやすいように、もう少し優しいつくりであれば、もう少し受けたと思います。妄想でも考察でも、ある程度答えやヒントが見えないと楽しめない、というのが持論なので。


この記事へのコメント
tanizakiさんこんばんは〜。
あまりの眠さだるさで個別話のレビューは断念したので心置きなくこちらのレビュー拝見しました!
・・・が!
これ、tanizakiさんの感想見るまではCLAMP作品知らない私が「なにあの犬ッコロ」「シュなんとかメンってなに」など諸々がわからんかったのも無理はないなあと(^^;
一般視聴者を置き去りですがな!<あ、犬の件は確定ではないとおっしゃっていますが

あまりにも背景が独特すぎてわからなさすぎというのは、ある程度CLAMPキャラとして記号化されてたせいなのかなと考えると、なんとなく納得できるのです。

しかし、CLAMPってなんか東京に対するコンプレックスかなにかがあるんですかね?(東京タワーとか東京の権力っぽいものが必ず作品に出てきますよね・・・)
都知事の件とか唐突すぎたので(^^;

ゆうかが老けてたのは気のせいじゃなかったことだけがわかったのが良かったです。

エキストラって結局地方の町をターゲットにして実際に住んでる人を巻き込んだということですよね?(街がやけに新しく見えたものの、全部作り物だとは思えない・・・つか、そうだったとしても「実験」にしてはコストかかりすぎ)

深夜帯だからといって、残虐描写がちょっと必要以上に多かった気がします。


続きは劇場で!というのもポカーンでした。今期一番色々驚かせてくれたアニメだというのは確かですね(^^;
気になる謎が多いので、どうなるかは知っておきたいです!
Posted by しのぶん at 2011年10月04日 23:10
>しのぶんさま

しのぶんさん、こんばんはです!
こまめに更新できないせいか、ひとつひとつの記事がやたら長くなる病に罹ってしまったようで、こんな冗長なところまで目を通して頂いて感謝感謝なのです。

犬っコロの件は8割方。
朱食免はよくわかりません。なんか人間食べてもよかよーってそりゃあんまりだと思うのですが。みんな知ってるよネ☆って風に、あまりにも普通に先生が語り出したときはポカーンでした。前フリもなく突然そんな設定出されてもなあという。

なんかこの作品そういうことが多すぎでしたね。
犬の件然り、願いとか対価とか「へえ・・・で?」って思われて当然だと思うのですよ。こりゃウケないはずですよ。

>CLAMPってなんか東京に対するコンプレックスかなにかがあるんですかね?(東京タワーとか東京の権力っぽいものが必ず作品に出てきますよね・・・)

あっははー。
同意同意!
知事の話が出てきたときには、某さんに対する軽い批判ですかと。こんなこと続けてると痛くもない腹探られますヨ?と言いたい。

>ゆうかが老けてたのは気のせいじゃなかったことだけがわかったのが良かったです。

これ全然気づかなかったですよ!!
それ知事になったときかなり痛い黒歴史になるよね!?
とひそかに突っ込んでしまいましたw

>エキストラって結局地方の町をターゲットにして実際に住んでる人を巻き込んだということですよね?

たぶん「話が違う!!」って台詞が全篇とおして二回ほどあった(湖で襲われた青年たちと、最終回逃げ惑う人たち)ので、おそらく、ねねたちのような、生活弱者、或いはなにがしかの犯罪経験のある日の下を歩けない人を「衣食住の保障・金銭の提供します。ただし危険があります、でも配った鈴持ってれば平気です」・・・みたいな方法で集めてきたのだと思います。国が関わっているのは文人の存在により明らかなので、なにかしらの方法で大量に集めたのは間違いないかなと。もしかしたら、すでに収監されていた人たちかもしれませんね。(どこもいっぱいだって言う話ですし・・・) 実験終了後には全員殺すつもりだったはずなので、(鏡を用意していたくらいですし)地元の人を使うと後々情報統制ができなくなりますから。

コントロールしきれず古きものに食されても困るので、あの人たちには本物の鈴が配布されていたんだと思います。なので、最後の兎みたいなやつが、古きものじゃないんじゃないか、と疑ってしまいました。

>(街がやけに新しく見えたものの、全部作り物だとは思えない・・・つか、そうだったとしても「実験」にしてはコストかかりすぎ

そこなんですよね。
この実験、コストがかかりすぎています。
廃車が転がっていたように、元々この土地は古きものの存在によって廃村だったとか。小夜に見える表面だけ綺麗にして。初めは暗示によって、小夜にそう見えているだけなのかとも思ったんですけど(犬と話しているとき、視界が歪む映像がありました)

どこで利が出るのか?というと、米軍云々の話につながってきて、血+では世界中に翼手が存在していましたが、血Cでは古きものが世界中にいるのかもですね。だから小夜の存在がお金になると見越しての実験かも。って小夜一人でいったいどれだけのことができるのかって話なので、小夜の血もお金になっているんだろうなと。

>深夜帯だからといって、残虐描写がちょっと必要以上に多かった気がします。

大量の血液を放出すると死ぬって設定のせいですね。
人間の首をひねったり、股裂いたり、遊ぶような描写が多かったのは、わざとですよね。

ああした行動をしていた古きものは、全部文人側に操られていた、というのがポイントで、あれ考え出したのって結局全部人間なんですよね・・・。より残虐な方法を(小夜に)(視聴者に)見せることで、古きものは悪だと印象づけるためだったのかなと。でもそれは人間の非情さでもあって。そういう視点の反転を描きたかったのかなあと想像しています。

それにしてもグロすぎた、と思いますが。

>続きは劇場で!というのもポカーンでした。

ですよね〜(^^;)
放送前から公式上で発表されていたので嫌な予感しかなかったものの、心の準備ができていた分、多少腹立ちは緩和されましたが。それにしても・・・ですよねえ。卓袱台返していいところですYO!

映画、本当に公開されるんでしょうか。
こんな状態で放送が終わって、さらに8か月後ですからね。
そちらの方が心配です。
Posted by tanizaki at 2011年10月05日 02:58
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