2011年10月16日

輪るピングドラム

14話まで観ました。
訳がわからないまま追いかけてきた作品ですが、折り返し地点です。
12〜14話を観てぼんやり感じたことを、まとめておこうと思います。

初回感想の際に上げた疑問のひとつ「最愛の妹を失くしても仕方ないほどの罪」とは、16年前に彼らの両親が起こした事件のことを指していました。しかし「これで罰が終わりじゃつまらないでしょ?」「そのとおり!」と、陽毬は二度死んで二度生き返ります。一度目はクリスタルによって、二度目は眞悧によって。

運命について、登場人物たちが独白しています。
「思わぬことも起こる、それが運命。悲しいことも起こる、それが運命。でも、そこにはきっと意味がある」 成長した苹果が辿り着いた答え。日記の中の運命を盲信していたときと同じく「運命って言葉が好き」とそのあとに続く台詞です。

両親の一件によって、おそらく相当辛い時間を過ごしてきたであろう冠葉と晶馬と陽毬。加害者の子供たちとして、自分たちが不幸であることは当然なのだと、一方で苛立ち、一方で色々なことを諦めています。そんな彼らでも、陽毬の命だけは諦められない。

運命のレールから脱するにはピングドラムが必要であると、クリスタルは告げます。運命という概念が世界に存在するのか、そのルールが人生を支配しているのか確認したい眞悧。その二人が揃って三兄妹の行く末を見守っている。

運命を変える。
この作品のテーマはそこにあると思っていたのですが、どうやらもっと根底からのメッセージを感じます。
(妹の死、二人の男の子、リンゴといったキーワードでつい宮沢賢治と結びつけがちになってしまいますが)辛いこと理不尽なことを「運命」だと言葉で括ることは簡単だけれど、それをどう捉えて生きていくのか、そんなことを考えたりしています。

14話で、陽毬を救う薬を買うために大金を集める冠葉に、眞悧はさらに上乗せを要求します。「相場がある」のだと。こうしている間にも飢餓や戦争で失われていく命があるのだからと。その一方で、13話では金を払うと言った冠葉に、大切な家族の命の対価にそれが見合うならと告げています。結局、眞悧は肯定も否定もしていません。

ゆりは桃華の死を受け入れられずにいます。
加害者がもし目の前に現れても、どうしたらいいかわからないと多蕗は言います。
事件の日に生まれた苹果は、晶馬の辛そうな姿を見たくないと思っています。
被害者の家族にはどうやっても償えないと晶馬は苦しんでいます。

事件を発端にして定められた彼ら彼女らの立場。
例え運命を変えても、そのまた新しい運命の先で別の苦しみが生まれる可能性もある。
「全てがもし決められていたら、僕らはどうしてもがくのだろう」
注目すべきは、悲しみや苦しみを消化できない兄弟やゆりを、決して悪く描いていないという点です。ショッキングで強引なのは手段であって、彼らがもがくさまをありのまま描いているとも言えます。諦めたり昇華したように振る舞いながら、それでも彼らは「どうしてもがく」のでしょうか。

ゆりにとって桃華は「砂漠の向こうに見えた花」「暗闇の光」でした。
花を、光を、ゆりは失ってしまった(と思っている)のです。

13話、挿入された眞悧の独白が、ずっと気になっていました。
「彼女に出会うまで僕はこの世界に一人だったからね。僕に見える風景は僕以外誰にも見えない。僕が聴こえる音は僕以外誰にも聴こえない。でも、世界中の人の声が聴こえていたんだ。世界中の助けてって声が聴こえていたんだ。本当だよ」
他人には見えない聞こえない世界を見ている・聞いている私を(君を)肯定しながら、果てしない孤独を感じさせる美しい台詞です。優しくて残酷な、この作品そのもののようです。

もしかすると、最後に陽毬は本当に死んでしまうのかもしれません。
闇ウサギを呼び込む眞悧と、彼と同じものを見ながら彼を否定するクリスタル。両者は陽毬の命を繋ぎ止めてはいるけれど、二人に陽毬を救っているという感覚が見受けられない。(陽毬自身がどう捉えているのかはまだわかりませんが、妹の死を二度も体験することになった兄弟の苦しみは想像できるものではありません)

乙女チックなアイテム、コロコロと動きまわるペンギンの可愛らしさと、エロティックで、非情とも思える出来事の連続。大きな振れ幅に翻弄されながら、今は夢中になって追いかけていくしかないようです。
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