2012年09月17日

ようやくHFルートへ

長かった・・・本当に・・・。
9か月目、ようやく最後のルートに入りましたよおお。
まとめて感想をUPする予定。でも我慢できなくてちょこっともらしにきた!

桜ちゃああああん(泣)
高跳びをする士郎を見ていたと語る幸せそうな笑顔とか、凛と士郎に対する気持ちでぐちゃぐちゃになってく姿とか、見るに堪えない。どんどん黒化していく桜。これ幸せになるの?ならなきゃ嘘だよね? 信じて進めます・・・。

イリヤが切嗣の娘だと士郎は知ってしまうわけだけど、これは意外にあっさり目だった。とっくに気づいてた的な。そして公園でのイリヤで涙。最終駅だからって、大好きだけど殺さなくちゃってイリヤは、ひどく歪なのに純粋で、やはりどこか老成している。靴をすり減らして泣くのを我慢している迷子のようだ。

士郎の一人称の地の文ですら、士郎の気持ちを言語化しないのは、なにか特別な意図があるんだろうか。

綺礼に父親を殺されたと知った凛がどんな反応をするのかも、ずっと気になっていたところ。
いつだったか「綺礼は凛に明かさなかった」と書いたけど、誤りでした。
凛は確かに怒りを露わにするんだけど、でもやっぱりそれくらいでは彼女の人格を傷つけることはできなかった。この凛と綺礼の掛け合いが凄く好きだ。お互い相手の手の内を嫌ってほど知っていて、決裂が決定的なのに、その別離は出会ったときから予想されていて、今さら驚くことでもないという。アーチャーの正体に薄々気づきながら、それでも今できることをやるのだと言い切る強さ。思わず士郎に詰め寄ってしまう情の深さ。凛はほんとうに格好良い。10年か20年後の凛は、凄くいい女になっていると思う。その頃にはきっと、誰も彼女に勝てないだろうなあ。

ルートを進むたび、ギルガメッシュのお馬鹿度が増していく(笑)
HFはいったいどんな最期を見せてくれるのやら。
言峰とベッタリだったFateルート、ビジネスライクだったUBW。で今回はギルの単独行動を言峰は諫めもしなければ、どこか煽って愉しんでいる風ですらある。ギルの目的が微妙に変化している点も興味深い。「星に語るように」アフレコしたというのは、UBWのことかな。このルートのギルは一番凶悪で、一番人間臭い。

HFの言峰は、半端ない切嗣厨だった。
切嗣語りがドリーマーすぎてもう、もう、どうしてやろうかと・・・。
いやほんと詳しすぎてびっくりする。自分が一番わかってるみたいな、思い返しながら呟かれても士郎も困ってるじゃないか。度し難いなんて言いつつ、聖人扱いとか、とか・・・。はわわわ。

どうでも良いことなんだけど、自分の中で言峰なのか綺礼なのかって言うと、どちらかというと言峰派なんだ実は。zeroに引っ張られてギルと一緒に綺礼って呼んでたけども。(そういえば、5次では言峰って呼んでるんだねギル) 凛は父親に倣って呼び捨てにしてるんだろうし、だからなんだって話なんだけど、言峰にとって下の名前は特別な意味がある気がする。尊敬する父親の願い、彼を縛ってきたもの、複雑な感情を起こす因子のひとつではないかと。愉悦に目覚めたからこそ、下の名前で呼ばれることを嫌っていたら良いなあ、なんて。

2012年07月06日

F/Z25(最終回)

いまさらですが、Fate/Zero最終回感想です。
まだまだ考え中なのですが、とりあえず、上げときます。
言うまでもなく、長い! 長いよ!!

※前提※
アニメZeroから入って小説読了。
アニメstay night視聴済み。
ゲームstay nightはFateルート途中。
相互関係によってどちらにとっても盛大なネタバレとなります。


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エクスカリバーによって、聖杯の器は消滅した。
しかし受け止めるべき器を失った泥は、冬木の町へ流れ出す。そこかしこで火の手が上がり、人も建物も触れたもの全てを焼き尽くす聖杯の泥。阿鼻叫喚の地獄絵図だった。

アーチャーは受肉を果たし、アーチャーと契約していた綺礼は、瓦礫の中で目を覚ました。切嗣によって撃ち抜かれた心臓は止まったままだが、泥の魔力供給によって綺礼の肉体は維持されている状態だ。聖杯は失われてしまったが、結果だけを見れば、生き残ったギルガメッシュと綺礼は聖杯戦争の勝者であり、聖杯が齎した現実こそ、綺礼が望んだものだとアーチャーは説く。すなわち、破壊と地獄をもって愉悦であると。

ギルガメッシュの言葉に、綺礼はついに得心する。
虚無などではなかった。
20年という歳月をかけて心身を鍛えてきたのは、一心に神の教えを信じていたからだ。神が説く道徳を、正義を、美しさを信じていた。人と同じものを美しいと思えない自分に苦しみ、人と同じ家庭を持てばと妻を娶りもした。苦痛と鍛錬を繰り返してきたのは、ひとえに覗き込んだ深淵の歪さから目を逸らすためだった。綺礼の苦悩はどれほどだったろう。言峰綺礼の魂は神の教えに反する存在だった。そう認めたとき、綺礼が感じた絶望ははかり知れない。自らの絶望すら甘美に感じる魂の歪さに哄笑し涙を浮かべるほどに。

理解は新たな問いを生む。
創造主である神は、なぜ己のような存在を作り出したのか。
切嗣に撃たれる直前に綺礼が叫んだ「自らの誕生を願っている」は無意識のものだった。前回感想で先走って書いてしまったけど、あれが今回書きたかったすべてだなあ。存在の矛盾を抱える聖杯を誕生させることで、その理屈も解けるかもしれないという。

ギルの定義によって綺礼は己の本質を認めるわけだけど、聖杯が冬木に大災害を齎したのは、切嗣の正義を執行するためでも、綺礼の願望を叶えるためでもなかった。(このあたりはFate/hollow ataraxiaに詳しく出ているらしいが)人の欲望によって祭り上げられた聖杯が、願望を叶える手段として大量虐殺を組み込んでいるだけの話。そもそも聖杯は己と同じ本質を持つ綺礼ではなく、「すべての悪を担う」と言った切嗣に受け止められることを願っていた。少なくとも第4次の時点で聖杯が綺礼に求めていたのは、切嗣との対峙だったと考えると、綺礼に二度も令呪を与えたこと、10年後、綺礼に令呪を与えなかったこととも辻褄が合う。令呪が宿らなかった綺礼にしてみれば相当のものだったと思うけど、それでも聖杯を誕生させるためなら、彼は迷わなかったろう。

死んだと思われていた雁夜も生き延びて、間桐邸へ戻っていた。
幸せな夢の中で死んでいく雁夜は、哀れを通り越して滑稽ですらある。死にゆく雁夜を一瞥した桜は、眉ひとつ動かさず「馬鹿なひと」「おじいさまに逆らうから」と呟いた。倒れている男を雁夜とも、知らないおじさんとも、認識しているのかいないのか、わからないようぼかされていた原作に比べてずいぶん非情な結末だった。だが、個人的にはこれでスッキリした。
雁夜は優しいから、桜の辛い毎日を少しでも和らげようと、聖杯戦争が始まるまでの一年間、できるかぎり桜に声をかけ続けていたはずだ。でもそれは本当に桜の救いになっていたのか、ずっと疑問だった。桜の声に蔑みすら感じたのは、立ち位置のせいだけではない。snの感想で書いたとおり、自分は必要のない人間だからと思わなければ、正気を保つこともできないほど追い込まれた子供にとって、声をかけてくる雁夜は、自分がまだ人間であると意識させる存在だ。そして「遠坂桜」を思い出せる存在。小さな桜が擦り切れていくようすが痛いほどわかる。透明になろうとしている桜にとって、雁夜の存在は苦痛でしかない。桜が雁夜を「雁夜おじさん」と認識しなくなったのも必然だった。
桜が本当に救われるのは10年後。そのとき、わずかでも小さい彼女を救おうと奮闘した男のことを思い出してくれたらいい・・・。そうしたら、雁夜もきっと救われるよね・・・。でも思い出すことで桜が苦しむなら、この数年間のことなんて、忘れていて欲しいとも思う・・・。

キャムランの丘に戻されたセイバー。
ランスロットの言葉を反芻して、セイバーはその場に崩れ落ちる。
臣下ひとりを救うこともできないで、なにが王か。
誰よりも貴い人を裏切ってしまった自責を抱えてランスロットと王妃を苦しんでいた。その罪悪感を王自らの怒りで断罪されていればどれほど楽だったろう。彼らが求めていたのは無償の赦しなどでなく、妻を寝取られたこと、忠節を裏切られたことに対する一人の人間としての怒りだった。けれど清廉なアーサー王は決して私怨を見せることはなかった。
アーサー王として選択を間違えた結果がキャムランの丘だというなら、岩から剣を抜いた瞬間から間違っていたのではないか。聖杯と特殊な契約を結んでいるセイバーは、聖杯を手に入れるまで何度でもこの場所へ戻される。死ねない身体を授かったセイバーにとって、これは永遠に続く罰だ。自らの王としての資質を疑い、購えないほどの罪を背負って、ただひとりきり、セイバーは慟哭する。彼女が初めて弱さを曝け出すことができたのが、屍の山の中、王として装う必要のない場所だった・・・というのは、本当に皮肉が効いている。

冬木の町に大きな爪痕を残し、第4次聖杯戦争は終わった。
それぞれ生き残った者たちのその後が描かれる。

世界中を旅したいと考えたウェイバーは、もうしばらくマッケンジー宅に住まわせて貰うことにしたようだ。空き缶やペットボトル、食べかけのお菓子の袋と、イリアスの詩集。ライダーの残していったものに溜息をつきながら、隅においやられた紙袋に気づく。中から、新品のゲーム機とソフト、大戦略のTシャツが出てきたときのウェイバーの、くすぐったいような切ないような、呆れたような苦笑いが良かった。

時臣の葬儀は小雨が降る中行われた。
喪主を務めたのは、遠坂を継ぐ凛だった。本来なら母親の葵が務めるところだが、葵は雁夜に首を絞められたことで脳に障害が残り、現実を正しく認識することができなくなっていた。夫の死と娘の不在を受け入れず、幻の幸福の中で生きる母親を、その回復を願いながら、凛は見守っている。葬儀の間も気丈に振る舞っていた凛だが、綺礼から父親の形見としてアゾット剣を渡されて、ついに涙を零す。父親の命を奪った凶器と知らず、以後彼女は10年間、少しずつ魔力を注いではこの短剣を大切に扱うのである。凛の涙に、綺礼は興奮を隠せない。いつか真相を知ったときの少女の絶望を想像すると、可笑しくてならないのだ。

切嗣は、冬木の地獄の中で行き倒れた少年を助けていた。
少年を養子に入れ、アイリスフィールの隠れ家として買い取った屋敷を改装して、その後5年、二人は穏やかな時間を過ごしていた。イリヤに桜を見せてあげたいというアイリの願いは、叶わなかった。アインツベルンを裏切った切嗣を、アハト翁は許さなかった。愛娘イリヤと引き裂くことで、切嗣に罰を与えたのだ。泥の呪いの声を聞きながら、切嗣はどんな想いで幼子と過ごしていたのだろう。父親として、息子として、互いにフリをしながら手探りの生活だったに違いない。冬木の一画を焼き払った炎は、切嗣の信念も目的もすべて燃やし尽くしてしまった。空っぽになった衛宮切嗣という容器に、少年の存在がハマったとしか言いようがない。でなければ、正気を失ったまま切嗣も炎と煙に巻き込まれていただろう。地獄の夜以降、5年という歳月は、切嗣にとって奇跡のような日々だったのではないだろうか。

切嗣の「正義の味方に憧れてた」という言葉に、少年は不満を漏らす。
もう諦めてしまったのかと。詰るような声音は仕方がない、少年にとって切嗣はヒーローだったから。胸の痛みを押し殺して切嗣が紡いだ苦し紛れの説明に、少年は考えた末に頷いた。「俺が代わりになってやるよ」と。それは、遠い昔、まだ純粋に理想を掲げていた頃、切嗣が口にできなった誓いだ。この月下の宣誓は、少年の指標となるだろう。自分に憧れ、自分と同じ道を行こうとする少年が、もしその道行で傷つき絶望したとしても、きっと誓いの記憶が少年を救ってくれるはずだ。

願いも理想も失った切嗣は、少年の言葉にかすかな希望を見る。
喪失を繰り返してきた衛宮切嗣の人生は、最期に小さな安堵を得て、幕を閉じた。

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最後にセイバーと士郎と、士郎の令呪のカットでおしまい。
途中でいろいろ文句言ってしまったけど、劇場版かっていうほどの映像とか音楽とか、凄いもの見せて貰ったなあと思います。実際ここからsnのゲーム購入まで至ったわけで、原作の魅力を損なうことなく走り抜けた作品でありました。ともあれ、ufoのみなさま、監督はじめスタッフのみなさま、大変お疲れさまでした!

切嗣と綺礼の葛藤を知りたい方は原作を読めばよいと思います^^ びっくりするから。
自分はそのままアニメを観た派ですが、酷評されるほどひどいものでもなかったと思う。
でも衛宮や綺礼、イリヤや桜の今後が気になるならゲームだろうなあ。

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☆綺礼と凛
悪辣な描かれ方をされているけど、綺礼は綺礼で真面目に後見人として仕事を果たそうとするんですよね。時臣を殺害したのは確かに綺礼なんだけど、彼なりに時臣の遺言を守ろうとするところは、やはり聖職者だなと思う。聖職者の価値観(質素倹約)のおかげで、遠坂家は没落していくわけなんだけど・・・。このアゾット剣で父親が殺されたってのはzeroの設定だったのかな? というのも、こんなに楽しみにしていたのに、snでの綺礼は凛に明かしていないんだよね。どころか八極拳を教えていたり、洋服を買ってあげたり(第5次でセイバーが着ている洋服、実は綺礼から貰ったものって聞いたときにはどうしてやろうかと^^ 間違いなく嫌味だよなコレ。凛がそんな清純そうなレトロなワンピなんて着るわけない・・・)、兄弟子としても後見人としても、そこそこ凛を気に入ってたんですね。天真爛漫だった凛が、10年後にはすっかり政治的手腕を会得していたのは、教えの賜物ですね綺礼さん。

☆切嗣と綺礼
何度も言うようだが、この二人のことになると冷静でいられない。
地獄の夜、何事もないように自分の上を通り過ぎた切嗣の視線。なにかを探し求めて彷徨うかつての魔術師殺しの姿に、綺礼は苦い屈辱感を抱えることになる。もっと嘲笑うような表情をするのかと思えば、アニメ版では意外に憎々しげに顔を歪めていて、想像以上に悔しそうで個人的に満足。

同じ空洞を抱えながら、手に入れた幸福を惜しげもなく捨て去り、妻と娘を縊り殺してまで手に入れた聖杯すら拒絶し、正義に殉じる切嗣はまるで殉教者だ。その切嗣が破綻者の綺礼を見逃した。思い返してみれば、綺礼にとって切嗣は重要な人物だったけれど、切嗣にとって綺礼は影響を及ぼす人物ではなかったという、ね・・・。このあたりで一度書いたけど、あとはゲームをやって補完していくことにする。

☆ギルガメッシュ
冬木の地獄を綺礼の願望の具現化だと言ったおかげで、なんかいろいろ拗れてしまったんではないか。とか、ねえ、イリヤや士郎あたりは突っ込みたいところだと思う。ギルの言葉を綺礼があまりにも鵜呑みにするので不思議だったのだけど、考えてみると、神さまの血が入ったギルのことを、綺礼が受け入れないわけなかった。10年後も変わらずセイバーに求婚し続けるあたりギルも一途だよなあとか、正直ネタ的なものしか思い浮かばない程度には、このキャラクターが大好きです。

ちなみに、
zeroの感想中アーチャーとギルガメッシュを併用していたのですが、わかりづらかったかも・・・。

☆切嗣
士郎と過ごす5年は、奇跡のようだったろうと書いたけれど、実際は、痛みと後悔と懺悔にまみれた年月であったとも思う。かつて手にかけた人々の怨嗟の声を聞き続けて、平然としていられるはずがない。自分が救われることを許せない分、助けた小さな命を今度こそ守りきろうと、ただそれだけを願う日々だったのではないだろうか。魔術に関わることを忌避しながら、最低限の心得を教えていたのも、それが少年の身を守る術になるならと考えてのことだったのでは。まさか自分の死から5年後、第5次聖杯戦争が始まるなんて、予想すらしていなかったろう。通常どおり60年後と考えていたからこそ、40年なんて長いスパンで聖杯を生き埋めにしようとしたのだろうし、だからこそ最期に安堵して逝けたわけで。

しかし、彼の予測は外れてしまった。
養い子が渦中へと巻き込まれるどころか、その中心となっていくのだ。

2012年06月19日

F/Z24(2)

衛宮切嗣と言峰綺礼、因縁の対決は、肉体の限界を超えたものと化していた。

切嗣にはアヴァロンが、綺礼には予備令呪が、それぞれの弱点を補うものを揃えた彼らの戦いは、当然のことながら苛烈さを極める。同時刻、ライダーの消滅によって聖杯の器が出現する。黄金に輝く聖杯から赤黒い泥のようなものが溢れ出し舞台一面を覆う。重量に耐えられなくなった床は抜け、階下の切嗣と綺礼に降り注いだ。

泥を浴びた切嗣は、アイリの姿をした「聖杯の意思」と名乗るものと出会う。
聖杯の内側がアリマゴ島そっくりだったのは、ここが切嗣にとって始まりの場所と言えるからだろう。彼がはじめて命を奪った場所、大勢を救うために父親を殺すことを選択した場所。自身の願いを叶える方法を尋ねた切嗣に、聖杯の意思が見せたものは、これまでやってきた切嗣の手法とまったく同じだった。多数を救うため少数を切り捨てる。やがて今救おうとしている命の数を、切り捨ててきた命の数が越え、天秤の針は逆転する。己の手法に限界があると知ったからこそ奇跡に縋るしかなかった切嗣に、聖杯はさらに追い打ちをかける。本人の識り得ない方法を願望には含められない、と。

父親を育ての親を、一度は命を救った少女を、過たず殺しつくした切嗣に残されたのは、アインツベルンの城の中で、穏やかに微笑むイリヤとアイリだった。二人と切嗣が争うことは決してないのだから、これこそ彼の言う「恒久的平和」の実現に他ならない。ならば60億の命と引き換えに、妻を蘇らせ子を取り戻せと願えば良いと聖杯は告げる。

切嗣の過去からアリマゴ島を投影してきたアンリマユはさすがだった。
アイリの人格を継承したため、彼女が最期に願った「娘の幸福」にも影響を受けているのだろう。切嗣の目指す恒久的平和に賛同しながら、アイリの望んだ平和とは、イリヤと切嗣が生き残ることを前提にしたものだった。切嗣は最後にイリヤを選ぶはずだと、アイリもアンリマユも高を括っていたのではないだろうか。

だが聖杯の意思の予測に反して、切嗣はイリヤを撃ちアイリを縊り殺す。
彼の天秤は家族を獲ることを許さない。死徒の研究を続ける父親によって齎される被害を考えたとき、父親を手に掛けることを選び実行した切嗣には、60億の命を捨てることは許されないのだ。もしその基準を違えてしまえば、積み上げてきた犠牲や代償を今度こそ本当に捨ててしまうことになる。すべて背負って生きるとはそういうことだ。このときのアイリやイリヤは聖杯が見せた幻だが、おそらく本物のアイリも同じことをしたはず。そう理解したからこそ、幻のアイリに手をかけながら、切嗣は涙を流したのだろう。絶命する間際までアンリマユは呪いの言葉を吐き続けた。絶対に赦さないと。

同じものを見ていた綺礼は、切嗣に少し遅れて目を覚ます。
同時に泥を被ったはずなのに、あくまでも綺礼は傍観者だったということか。聖杯は最初から切嗣を選んでいたのだ。(「オマエを担う」という切嗣の台詞がカットされてわかりづらくなってしまったけれど) 理想を遂げるためなら全ての悪を担ってもかまわないと切嗣が口にしたときから、聖杯の意思は決まっていた。
怒りと憎しみのまま綺礼はなぜ、なぜ、なぜと問いを重ねる。徹頭徹尾すべて理想に殉じてきた切嗣が、願いそのものを捨てようとしている。己が願っても手に入らなかったものを捨て去るだけでなく、そうまでして望んだ聖杯すら拒絶した切嗣を、綺礼には理解できない。

「自らの誕生を願っている」
己の魂を理解した綺礼の血を吐くような叫びだった。破壊と殺戮によってのみ願望を成す聖杯など、いったい誰が望む? しかしそれほど疎まれ拒絶される聖杯がもし形を成せれば、同じ悪性を持つ綺礼自身の存在の肯定にも繋がる。それこそ彼の迷いすべてに対する解ではないか。左手を上げながら喚く綺礼を、切嗣は黙したまま背後から手にした銃で撃ち抜いた。

そして切嗣は階上へ向かう。
聖杯を破壊するために。


☆アイリとイリヤ
もうクルミの芽を探しに行くこともできないねと泥に閉ざされる窓を見る切嗣に、涙腺決壊。銃口を向けられて不思議そうに切嗣を見上げるイリヤの愛らしいこと。大原さんの半狂乱ぷりも素晴らしく、このあたりはちょっと冷静に観てられなかった。あの可愛らしいアイリの顔が醜く歪むところなんて、直視できませんよ・・・。そしてあのエンディング。すべてはこの日のために用意されていたんだなあ・・・。

☆ヤング綺礼の肉体は無敵
マジカル八極拳がいかんなく発揮された今度の戦い。
令呪を使って肉体強化、弾丸の軌道変更ならまだしも、なにより3倍速4倍速の切嗣にも生身のままついてくるとかどんだけよ。ノーモーションで大木折るなんて朝飯前だったね^^ 流れるような足さばきで間合いを一気に詰めるとか、いやあ、いいもの見せて貰った。この強靭な肉体がなくては、衛宮切嗣との戦いの場に立つことはできなかった訳だから、空虚を埋めるために厳しい鍛錬を続けたてきたことも無駄じゃなかったよ綺礼。(噂ではこの綺礼ですら代行者の中では中の下なんだとか? 令呪でブーストしてるのであれだけど、一流の代行者とはいったいどれほどのものなのか、想像するだけで恐ろしい)

対戦前にロザリオに口づけするとかああああああふおおお
あなたそんなキャラじゃなかったよね・・・?
いやあ、もう、ほんと・・・ごちそうさまです。

大道具部屋が、なんか精神と時の部屋みたいになっててびっくりしたけど、真っ白い空間で、薬莢やら折れた黒鍵の欠片が粉々に飛び散ったり、血飛沫が上がるさまに大興奮でした! コマ送りコマ送り・・・。欲を言えば、固有時制御の振り戻しにもっともっと苦しむ切嗣が見たかったです(おい) 抜け落ちる天井と降り注ぐ泥のコントラストが、本当に美しかった。なんかもう、いろいろ凄かったぁ・・・。

2012年06月17日

F/Z24(1)

巻き上がる炎と、降り注ぐ水滴の中、かつての主従が相対する。
しかし、セイバーとバーサーカーの戦いは唐突に終わりを迎えた。

バーサーカーの正体を知ったセイバーは戦意喪失状態で、ランスロットの刃を、これまでに培った技術でなんとか躱しているようなあり様だった。そのため、突然動きを止めたランスに剣を向けたのも、明確な殺意より反射が先だったのではないだろうか。生死を賭けた戦いの中で、セイバーの高い戦闘スキルが、一瞬の隙を見逃すことを由としなかった。目で捉えた事象に対して、身体が自動的に動き、ランスの命を奪っていった。

「それでも私は聖杯を獲る」
「そうでなければ、なにひとつ償えない」
聖杯を手に入れすべてを清算する、償う。
消えゆくランスを前に、セイバーは固く誓う。人の心がわからないと去っていった臣下、王妃、理想の騎士だった一番の朋友。かつての故郷・臣民たちすべてを取り戻すと。ブリテンの復活という理想を掲げていたセイバーが、無意識の内であれ、正しさを盾に、己の願望を自覚し口に出す重要な場面だ。

ときに正論は、人を追い詰めてしまう。
追い詰めて逃げ場を失くし、救いの道すら与えない。
それがセイバーの言う正しさであり理想であった。
原作では、セイバーは倒れてくるランスを抱えながら、間隙を縫ってまで勝利を手にした自分の浅ましさを恥じるのだが、アニメ版では、どこか思い詰めたような、昏い瞳を晒している。まるで、正しさを完遂するにはランスロットの死もまた必然であると、それも含め、聖杯によってすべて覆せば良い、などと思っているかのようだ。ランスとの因縁を完全にカットすることで、アーサー王個人よりもセイバー個人の心情を優先したのは、時間制限の中で最良だった。理想の名のもとに朋友の死すら取り込もうとするセイバーを描くことで、より切嗣との相似性が浮き彫りになったように思う。

傷だらけのセイバーの行く手を阻んだのはギルガメッシュだ。
なりふり構わず聖杯を求めるセイバーを愉快そうに見やって、剣を棄て妻になれとギルガメッシュが言った。顔を合わせるたび戯言ばかり言うギルガメッシュだったが、さすがのセイバーもあまりのことに言葉を失う。ギルガメッシュは、人の範疇を越えた理想を目指すセイバーの生き方を楽しんでいたのではなかったか。憤るセイバーを見るギルガメッシュの瞳には、恍惚と愉悦が浮かんでいる。宝物庫に所有した極上の酒を口にするときのように、セイバーの名前を呼ぶギルの声がなんともエロス! セイバーの存在そのもに価値があると認めたからには、存分に愛でるというのが王の言い分だ。

英雄王に反撃しようにも、彼の背後には聖杯がある。
マスターからの魔力供給に滞りがなければ、エクスカリバーを放つことも可能だが、聖杯を傷つけることはできない。婚姻を迫る英雄王、精神的にも肉体的にも追い込まれたセイバーの元へ切嗣が現れる。これで形勢逆転かと思われたが、状況を打開するどころか、切嗣はセイバーにとんでもない命令を下す。宝具による聖杯の破壊。残る令呪二画すべて用いて下された命令を、サーヴァントであるセイバーが拒む術はなかった。理想を追い求めた切嗣を、マスターとして尊敬することはできずとも、その願望の根底にある正しさへの執着を感じていたセイバーにとって、アイリスフィールや舞弥を犠牲にしてまで手に入れた聖杯を、マスターが壊そうと決めた理由など知り得るはずもない。結局マスターとサーヴァントして心を通わすこともないまま、セイバーはエクスカリバーを解放する。

☆ランスロットとアーサー王の因縁
どうするんだろうね。せっかく置鮎さんなのに、もったいないもったいない。
BDで補完か?なんて言われてるみたいだけど、そうすると、ランスが倒れてくるときのセイバーの表情が合わない気がする。「待って行かないで・・・!」って表情じゃないだろうアレは(笑) あなたの死は無駄にはしないって表情だよね。確かにこのときのセイバー(原作)は、今読むと、硬質で中身がよわよわなzeroセイバーというより、どちらかというと、ステナイのセイバーさんに近い印象。

でもほんとに、これだとセイバーは完全に脇役ですなぁ・・・。

で、まさかの分割レビューですYO!!
ウソだろ?おれも信じられないんだぜ?

(2)につづく・・・。

2012年06月15日

F/Z23

ライダーたちの前に現れたのはアーチャーだった。
互いを好敵手と認め合った二人の、決着のとき。

圧倒的な強さを持つ相手が怖いかとライダーに問われ、ウェイバーは素直に怖いと答えた。そこには普段の強がりも卑屈さもなかった。心が躍ると言えばいいかと軽口まで叩く少年に、虚を突かれたのはライダーの方だ。令呪を使い切りマスターでなくなったことが、ウェイバーを開き直らせている気がする。
冬木大橋で向かい合う征服王と英雄王。いつかの酒宴で交わした杯をふたたび取り出し、二人は酒を酌み交わす。ともに戦わないかというライダーの誘いを、友は生涯ただ一人、王も二人はいらぬとアーチャーは笑って拒んだ。それが最古の英雄、ギルガメッシュの孤独なる王の生き方だった。

市民会館へやって来たセイバーに、バーサーカーが襲いかかる。
エクスカリバーの間合いを的確に測ったバーサーカーの戦い方に、相手は過去の自分を知る人物なのではないかと考えたセイバーの判断は正しかった。「アーサー」と禍々しい呻り声を上げる彼こそ、かつてのアーサー王の臣下ランスロットだった。砕けた兜によって初めて表になったバーサーカーの表情は、セイバーに対する憎悪で醜く歪み、彼本来の端正な面影は欠片も残っていない。完璧な騎士と称されるほどの武人であったランスロットの変わりように、愕然とするセイバー。それほどまで私が憎かったのか、恨んでいたのかと問い質しながら、抑え込んでいた不安が彼女の中で膨れ上がる。ライダーの「王の軍勢」を見たとき感じた不安は、このとき疑心となって彼女を揺らす。なんといってもアーサー王は英霊にまで昇華された英雄だ。だがその名誉や称賛とは裏腹に、一人の騎士をここまで追い詰めてしまったのではないか? このときから、セイバーは己の根底を覆しかねない恐ろしい問いを抱えることになる。

王の軍勢を展開するライダーに対して、アーチャーは乖離剣を開帳した。
キャスター戦で時臣に乞われて激怒していたエアと呼ばれるその剣は、かつて天と地を切り分けた逸話をもつ原始の剣。剣という概念すらない時代に生まれたものである。解き放たれたエヌマ・エリシュは字の如く「天地乖離す開闢の星」。世界そのもの空間ごと切ってみせるアーチャーの宝具によって、王の軍勢は消滅する。

ライダーに残されたのは、愛馬ブケファラスのみ。
なにも持たない王の、臣として仕えるかという問いにウェイバーは即答する。あなたこそボクの王だと。マスターでも友でもなく「王と臣下」という答えがいかにもライダー陣営らしい。王の夢を見極め、後世に語り継ぐのが臣下の役目だと言って、「生きろ、ウェイバー」と王は命じる。
あるかないか知れないものを追いかけて誰かを死なせるのはもう嫌なのだと、地球が丸いことを知って驚いたと自嘲気味に話していたライダー。彼は現界した瞬間からずっとこの想いと向き合っていたのだろう。しかし臣下を背にして敵と向かい合ったときの高揚は、そんな諸々をすべて消し飛ばしてしまう。強大な敵、越えられないもの、そこへ挑もうとするとき高鳴る鼓動、それこそが追い求めたオケアヌスの潮騒なのだと、劣勢であるはずのライダーの声は、楽しげですらある。届かないものに手を伸ばす、その姿を臣下が見守っている。だから立ち止まるわけにはいかない。

ライダーの剣は、アーチャーには届かなかった。
鎖に四肢を抑えられ乖離剣に刺し貫かれて血を流しながら、ライダーは微笑む。今回の遠征も心が躍ったと、満ち足りた声で呟いて、ライダーは消え去った。インタビューで読んだとおり、ライダーは召喚されてから消滅するまで、いつどこで死んでも良いように生きていた。あと一歩もう一歩、夢に近づくために死ぬまでその足を止めなかった。愚かしいだろうか惨めだろうか。彼にとってはこれが最上であり、彼が最上であったと思える限り、ウェイバーがこの戦いを悔いることはないだろう。最初で最後の王との誓いを護る、その誇りと誉れを胸に生き続けることは、決して楽な道ではない。けれど、このたった20分に満たない戦いのすべて、ライダーと過ごしたすべてを記憶しているかぎり、ウェイバー・ベルベットが道を違えることはない。


☆ギルガメッシュ最強伝説
エアさえあれば聖杯戦争なんて3日で終わりそうなもんだが、そこはギルがギルなので(笑)
財宝庫の鍵→扉→乖離剣の流れが美しかった。テンション上がった!!
ライダー戦のギルガメッシュを見ると、ほんとズルイなあと思う。いつも滅茶苦茶で破天荒なギルだが、自分が認めた相手には誠意ある態度を見せる。ライダーとの約束を護って耐えるウェイバーに「忠道、大儀である」と述べるところを見ても、セイバーの言葉を揶揄することはあっても、騎士道を軽んじているわけではないとわかる。

それにしても、乖離剣エアといい、天の鎖(エルキドゥ)といい、可愛らしいセンスですなあ(笑)
ギルとその友人のことを考えると、あっという間に時間が過ぎてしまいますヨ。寸前のところでライダーを止めた鎖と、振り下ろされる刃にぴくりとも動かないギルとか、なんという信頼関係!! いや、鎖はただの鎖だとわかっているんですが、つい燃えてしまいます。

☆祝福の聖句
声がつくと凄まじい破壊力です、ね・・・。うう、酸欠になるかと・・・。
次回、とうとう切嗣と綺礼の対決かと思うと、思うと、ふおおおおおお
予告だけでなんかいろんなもの弾けたのに、次回、30分の視聴に耐えられるのだろうか。

2012年06月10日

F/Z22

攫ってきたアイリスフィールを連れて、綺礼は以前キャスター陣営が隠れていた下水道の地下貯水槽に潜んでいた。

弱りながら毅然とした態度を崩さないアイリ。
彼女から、自らの虚ろを指摘され、綺礼は困惑する。だが綺礼の空虚を見抜いたのは切嗣だと聞いて、困惑は喜びへと変わる。やはり切嗣は同じ空虚を抱えていたのだと。自身の空虚を埋める手段を欲してきた綺礼は、切嗣が空虚から救われたのであれば、自分もまた救われるのではないかと期待してきた。切嗣を理解することでそれが叶うと信じてきた。だからあれほど男との問答に執着していたのだ。

シャーレイ、父親、ナタリア、舞弥、そして最愛の妻。親しい人を繰り返し切り捨てながら生きてきた切嗣を、それでもアイリは「優しい人」と言う。痛みを背負うとわかっていながら、愛さずにはおれない人なのだと。だが綺礼にとって「恒久的世界平和」など到底信じられるものではなかった。いや、自らを理解し愛してくれる人間を手ずから捨ててまで、願望器に願いを託す男の心が、綺礼には理解できなかった。自身がどれほど願おうと求めようと決して手に入れられなかったものを、放棄し続けてきた衛宮切嗣。そのひとつでも綺礼にとっては幸福になり得たものを、空しい夢物語のために捨ててきた男。己の求め焦がれてきたものを無下にする切嗣に対して、綺礼は激しい憎悪を向ける。

聖杯戦争において勝利の達成とは、ただ敵を殲滅すれば良いだけではない。
聖杯を降臨するため、儀式を行うだけの霊的な力を備えた場と、降ろすための聖杯の器を揃える必要がある。冬木市内の霊脈のうち残された場所はふたつ。市民会館と円蔵山である。聖杯の器を手に入れた綺礼が、儀式においてより最適な円蔵山を選ぶと予測した切嗣は、山頂にある柳洞寺で待ち伏せ、敵を迎え撃つ気でいた。
しかし綺礼は最終決戦の場に、市民会館を選んだ。切嗣の理想を知った綺礼にとって、聖杯の行方などどうでも良い。彼の目的は敵のマスターを駆逐し衛宮切嗣を壊すことだけだ。聖杯が破壊されてもそれはそれで運命だとまで言い切っている。

綺礼の上げた狼煙を、ライダーとウェイバーもまた見ていた。
今夜が最終決戦になると予想し愛馬を呼び出したライダーに、ウェイバーは令呪すべてを使って勝利を命じた。魔力供給も満足にできず、一般人である居候先のマッケンジー氏には暗示を破られ、ついにセイバー戦では足を引っ張るという失態を犯してしまった。なにも役に立てないのなら、せめてマスターの権利を放棄してライダーの戦いの邪魔をしないようにと考えたのだろう。高い自尊心のせいで必要以上に卑屈になっていた少年があっけなく令呪を手放したことに、原作を読んでいるとき驚いたのだけど、映像で見ると命じるというより、ライダーの勝利を祈願する風でちょっと健気な感じすらした。ところがこのウェイバーの決心すら、ライダーはなんでもないことのように笑って包み込んでしまう。マスターでなければ朋友として、二人は戦地へ向かう。

綺礼によって命を終えたアイリは、気づくと、山と積まれたホムンクルスを見ていた。
それはアインツベルンが聖杯を求めた歴史でもある。
その夥しい数の人形の亡骸に零れた涙は、憂いと哀しみだ。彼女らと同じ運命を辿るはずだったアイリは、繰り返されてきた屈辱や絶望を、ホムンクルスの一人として見ている。だがその涙も、腕の中で不安に怯える娘の未来を想ったとき、母親としての願いへと変わる。決して自分たちと同じ道は歩ませないと、夫とともに固く誓った約束をいま一度確認するように、アイリは小さなイリヤを強く抱きしめる。

しかし、涙を零す「これ」は本物のアイリスフィールではない。
器の外装、アイリという人格は、綺礼によってその命が絶たれたことで機能を失くしている。まして聖杯の器が出現間近となった今、器として動き始めたものが、その中身を見通せるはずがない。原作を読んだときもイメージしにくい部分だったのだけど、映像にされるとますます混乱するなあ。原作では、卵の殻をアイリ(外装)、中にいる雛を器、雛の内臓を聖杯と仮定した上で、雛が出てくるとき卵の殻は割られていると例えている。割れた殻に聖杯が観れるはずもなく、であるなら、砕け散った殻の一部を食べた雛が、アイリの記憶を見ていると考えるべきだ。

聖杯は意思を持つものであり、アイリの記憶を見て涙を零した。
そう考えると、上で考えたアイリの涙の理由もまた変わってくる。
この世すべての嘆きを刈り取り、すべて苦悩を取り払う力。すべてを呪い叶える願望器として、そう在ることを望まれ仕組まれた聖杯と、アインツベルンの意思によって作り出されたホムンクルス。両者が成った動機は近い。原作ではアイリはアインツベルンの歴史に心を痛める描写が入るのだけど、人形の骸に涙するシーンは、聖杯に意思があることを決定づける、しかもアイリの性格を考えると、多分に殻のアイリスフィールに影響を受けていることも窺わせる、良い伏線だと思う。

☆ライダー
ウェイバーが眠る横でライトもつけず、キャンドルの明かりで詩集を読むライダーにじんわりきた。背を丸めて、静かに文字を追う姿がなんとも・・・。OPの薄暗い部屋で窓の外をみやる二人の背中が印象的だと以前に書いたとおり。「比肩せよ」とニカっと笑顔で告げるライダーに、ああ、これなんだなあと妙に納得でした。

2012年06月07日

F/Z21

場面転換が多くて、経過追うだけでどんどん長くなる罠。

土蔵の中でバーサーカーの宝具の痕跡を見つけた切嗣は、間桐の家へ向かった。
そこで、雁夜と言峰綺礼が手を組んでいることを知る。
それは、セイバー・切嗣の陣営をさらなる苦境へと追いやるものだった。今回の戦争で最強と思われるアーチャーだが、バーサーカーは戦う上で相性の悪い相手。この二勢力がぶつかり合っている間に、残るライダーとセイバーを当たらせる。その間隙を縫って各マスターを狙う。これがおおよそ切嗣の目算であったはずだ。しかしアーチャーとバーサーカーが組んでいる今その計算は成立しない。なにより、聖杯の器であるアイリスフィールが言峰・間桐の手にあるという事実。少なくともセイバーをいずれか一方にぶつけ、なんとかアイリの身体を奪回する必要がある。遠坂時臣の殺害からたった一晩のうちに、勢力図を大きく塗り替えた綺礼の手腕に、切嗣は驚きと焦燥を覚える。

その頃セイバーは、一度見失ったライダーをなんとか見つけ出しバイクで猛追していた。
いくぶんか復活したライダーはもとよりセイバーとの戦いを望んでいた。追いかけてくるセイバーを訝りながらも、好都合だとゴルディアスホイールを駆って向かい合う。ライダーの牛車にアイリの姿が見えないことに気づくセイバーだが、ここまで追ってきた相手に今更背を向けるわけにもいかない。
ライダーとセイバーの一騎打ちはセイバーに軍配が上がった。セイバーの放ったエクスカリバーを間一髪で避けたライダーだが、ゴルディアスホイールを失ってしまう。ライダーに追撃の手段がないことを見てとったセイバーは、アイリスフィールを探すため市内へ取って返す。(原作で読んだときよりずいぶんあっけない結末だった。カーチェイスの時間が長くて、上段からの剣げきをライダーがいなして、あとはエクスカリバーで幕というちょっとしょんぼりな展開だった・・・。ここでゴルディアスホイールを失くす必要があったとはいえ、な。セイバーの強さの証明ではあるんだが)

切嗣の想像どおり、アイリスフィールを攫ったのは、令呪の命令でライダーに扮したバーサーカーだった。現れた本物のライダーをセイバーが追い駆けていくのを見送った雁夜と綺礼。雁夜へ予備令呪から2画を与え、綺礼は聖杯を雁夜へ譲るとまで告げる。戦いの序盤、あれだけ桜を救うため聖杯を持ち帰ると宣言していた雁夜だが、このときすでに彼の意識は別のところへ移っている。情報収集の手段が少ない雁夜にとって、綺礼の申し出は突然だったはずだが、彼は遠坂時臣との会合を条件に共闘を飲んでいた。

雁夜が去ったあと、綺礼の前に間桐臓硯が姿をあらわす。
端から次回と次々回の聖杯戦争を見据えている臓硯は、出来の悪い雁夜が苦しみ壊れていくさまを遠巻きに愉しんでいる。その愉快さを理解できるだろうと問われ否定する綺礼だが、外道に堕ちることに照れがあるのかとからかわれて、黒鍵を投げつけ反発する。ことのき綺礼が黒鍵を抜いた理由はいくつかあるだろうが、なによりも、秘術による延命を繰り返し生き長らえ、醜悪な体と精神をもつ臓硯に対する嫌悪からだった。元代行者としての性がもたらす生理的嫌悪感。愉悦に目覚めたとはいえ、彼の中には、常に両極の基準が存在している。

約束の時間に教会へやってきた間桐雁夜。
積年の恨みをぶつけるように言葉を浴びせながら近づいたそのとき、時臣の身体がゆっくりと傾く。崩れ落ちる時臣の亡骸を腕で支える格好になった雁夜は、大きな混乱と衝撃に言葉を失った。そこへ葵が現れる。突然思いもしなかった女性の登場に、雁夜は言葉にならない呻き声を上げた。

葵の口からようやく「桜」の名前が零れた。おそらくその名前を口にすることも諦めていたのだろう。葵は夫ではなく、娘を奪った間桐を恨んでいた。娘を奪うだけで飽きたらず夫まで奪った間桐への憎悪が、雁夜へと一気に噴出する。葵の一言は、雁夜の心を粉々に破壊した。雁夜はあと何日生きられるだろう、何回戦えるだろうと確かに怯えていた。だがあれは「願いが成就しないまま死ぬこと」への恐怖だった。桜を救えず、時臣に一矢報えないまま死ぬことを怖れていた。その根底には、愛する女性に笑顔を取り戻したいという望みがあった。遠坂にいるかぎり、葵は不幸だ。その不幸から救い出してあげたい。だから涙を流し時臣の亡骸を抱いて、憎しみの言葉を吐く葵を、認めるわけにはいかなかった。恐慌状態で葵の首を締めながら、雁夜は真っ暗闇の中で叫び声を上げる。(ここはアニメならではの演出で非常に良かった) 「なんのために、誰のために、死ぬぐらいならいっそ」 好意や愛情、羨望や憎悪、多くの感情がない交ぜになった雁夜の、紛れもない本心だろう。笑い合う母と娘二人を遠くから見ている自分自身、その人の幸せを願って身を引いたはずなのに、見返りを求めない愛情だったはずなのに。母娘との距離は遠ざかっていくばかりで。

葵がなにを望んでいるのか求めているのかを思いやれなかった時点で、雁夜はすでに大きな間違いを犯しているわけだが、彼は最後までそれに気づけなかった。雁夜の本当の悲劇は、中途半端に正気を取り戻してしまったことかもしれない。葵の首を絞めたまま狂ってしまえば、どれだけ楽になれただろう。己のサーヴァントのように、狂ってしまえれば・・・。


☆臓硯と綺礼の対面
snへの伏線としては勿論、「自慰の如き秘め事にでも耽っている気でおったのか?」って臓硯の台詞がカットされたのがとても残念だった。照れをからかわれ、↑の台詞を聞いて間髪おかず黒鍵を投擲する、って流れが堪らないのです。個人的にですよ、これはとてつもない偏見だと思うのだけど、聖人であろうとするあまりそういうものを回避してる感があるんだよな・・・4次峰。奥さんも(娘さんも?)いるけどさ・・・。
原作ではこのとき臓硯の口から、聖杯のシステムがおかしくなっていると語られています。キャスターが英霊として召喚されたのはおかしい云々と。このあとアイリとアンリの対話があるので、前フリとして充分だと思うのですが。結局1クールから通しても臓硯の目的がよくわからないまま、というのが一番の問題でしょうか。

☆間桐鶴野
名前も出てこねえ(笑)
切嗣さんにマウントされてヒーヒー言ってるだけ(おい)
なんだかなあもう。

2012年06月01日

F/Z20

2週遅れなので少し駆け足感想。
場面転換が多くてどうも散漫気味。

キャスター戦から霊体化したままのライダーを不審に思ったウェイバー。
己のサーヴァントが魔力不足であると考えた彼は、ライダーを召喚した場所で地脈の力を使って、なんとかライダーの回復を試みる。実際、王の軍勢を貯蔵魔力で補っていたライダーは、ウェイバーからの魔力供給を差分なく受け取るため実体化を控えていた。王の軍勢の魔力消費が大きい上に、他のマスターよりウェイバーの魔力供給が少ないことも一因だろう。魔力を根こそぎ奪われ死にかけても自分が始めた戦いだから構わないというウェイバーに、それは聖杯が本当にあればの話だろうとライダーは答える。あるかないか知れないものを追いかけて誰かを死なせるのはもう嫌なのだと。それは、最果ての海を追い求めたイスカンダルの過去だ。英霊として現界と同時に、最果ての海など存在しないことを知ったときは堪えたと、苦々しげに呟くライダーの声にいつもの覇気はない。それでも自分がマスターだとウェイバーは返す。マスターとサーヴァントである限り、どこまでも共に戦場に立つのが当然であると、言外に告げているのだ。ウェイバーの言葉を聞いたライダーに、いつもの快活さが戻ってくる。

生徒というか息子というか、いつも与えられるばかりであったウェイバーが、具体的に魔力供給するようすが描かれているのと同時に、どことなく弱音を漏らすライダーを力づける場面。非力で捻くれていた少年もすこしづつ成長しているのがわかる。

隠れ家の土蔵に設えた魔法陣の中で休んでいるアイリのもとへ、彼女の状況を察した切嗣がやってきた。アサシン、キャスターに続いてランサーが消滅した今、聖杯の器をその身に抱えるアイリスフィールは限界にきている。これからの戦いにこそ必要だと切嗣へアヴァロンを手渡し、自分は幸せだと告げる口調は、どこまでも穏やかだった。娘のことを託して、切嗣を送り出す彼女は、これが夫と言葉を交わす最後だと気づいている。あともう一体でも英霊が消滅したときアイリスフィールとしての外装が綻び、やがて人としての意識を保てなくなるだろうと。

その一方で、切嗣の勝利を強く願っている。夫の願望が叶えられた未来には、聖杯戦争も存在しないはずで、器としての役目がなくなれば、娘のイリヤが人間として幸せな人生を得ることができるからだ。アインツベルンのホムンクルスという生贄が自分で最後になれば良いと、アイリは言う。切嗣の理想に同調していただけの彼女が、一人の母親として娘の身を案じているのだ。

遠坂からの情報でライダー陣営の潜伏先を知った切嗣は、すでにセイバーを向かわせていた。だが彼はそこへ向かわず「遠坂時臣を討つ」と言う。ライダーとセイバーの戦いになればアーチャーも姿を現す、守護であるサーヴァントの不在を狙ってマスターを殺害する。またもやセイバーを囮にというわけだ。一時的にとはいえ協力関係の遠坂に矛を向けたのは、そんな冷徹な計算と、アイリの苦しみを長引かせないための焦りがあったのかもしれない。

しかし事態は彼が考える以上のスピードで進んでいた。
切嗣は、向かった遠坂邸で時臣の死を知ることになる。強固だった屋敷の結界は解除されており、屋敷内は無人と化していた。テーブルに残されたティーカップは、その場に時臣と親しい間柄の人物が存在したことを示唆しており、地下の工房に難なく侵入できたこと、絨毯の血痕が遠坂時臣のものと断定したとき、切嗣は最悪の事態を想定したはずだ。本来、己のマスターが殺されるのをサーヴァントが黙って見ているはずがない。しかしサーヴァント自身にその意思があれば話は別だ。時臣から信頼され、サーヴァントを失くしマスター権を失っていながら新たな令呪を獲得する機会があった人物。それは、言峰綺礼以外にあり得ない。遠坂時臣の死亡、言峰とアーチャーの再契約。それは切嗣にとって最悪のシナリオだ。

さらに事態は悪化の一途を辿る。
舞弥からの知らせで、舞弥とアイリが襲われたことを知った切嗣は、土蔵へ戻るよう令呪を使ってセイバーへ命じる。戻ったセイバーは、重傷の舞弥からアイリがライダーに攫われたと聞き、ライダーを追いかける。切嗣が土蔵に辿り着いたとき、舞弥は瀕死の状態だった。自分の死に涙を浮かべる切嗣に「泣いては駄目」「まだ壊れては駄目」と、彼女は最後の言葉を残す。アイリが妻として、切嗣の理想は正しいと、優しい夫の心が折れないよう何度も言い続けていたように、彼女もまた男のこれからだけを思っている。少女兵として戦争の道具だった少女を戦場から連れ出したのは切嗣であり、救った命なら好きに使ってくれと差し出す少女に名前を与えのも切嗣だ。己の機械の一部として長い時を過ごしてきた。舞弥は自分の心は壊れていると言ったけれど、息も絶え絶えに、遺される切嗣を想って言葉をかける彼女は、充分に一人の人間ではないか。感情を抑え込んだ切嗣は低く告げる「お前の役目は終わりだ」と。その言葉に、舞弥は安堵するように息をひきとった。

☆遠坂邸の結界がなくなっていた件
結界を維持したまま去っていた原作言峰に比べて、アニメ言峰はどうやら完全に開き直っている。(放送の尺という制限を考えると当然とも言えるが) 時臣の死亡を隠そうともせず、あちらこちらに手を伸ばそうとしてる。アーチャーという最強の手札を手に入れ、目指すものが明確になった今、彼が停滞する理由はない。

☆アイリと舞弥を見下ろす切嗣
原作ではアイリと舞弥をそれぞれ抱き起す切嗣だけど、アニメでは横たわる二人を見下ろすような格好。ずいぶん淡々とした描写に変わっていて驚いたのだが、反面、切嗣らしさが出ていて良かったと思う。
初めて父親を殺したときも、彼がその亡骸に触れることはなかった。ナタリア然り。天秤たらんと近しい人を犠牲にしてきた切嗣だが、舞弥を看取るシーンでわかるとおり、彼はその死を受け入れているわけではない。どころか怯え恐れてすらいる。死に向かう者に手を伸ばせないほどに。舞弥から伸ばされた手を取ることもできず、力を失くし落ちていくところを咄嗟に掴むことしか彼にはできなかった。

2012年05月15日

F/Z19

父親を殺し島を出たあと、切嗣はナタリアのもとで数年を過ごした。
狩人として、戦う術を学ぶ日々。

シャーレイを殺せなかったこと、その結果、島中の人々を死なす羽目になったことが、切嗣にとって大きなトラウマとなっている。また、魔術師とはいえ実の父親を殺したことが、少年の成長に大きな影を落とした。ナタリアと世界中で仕事をこなすうち、島の出来事がさして珍しいことでもないと知った彼は、一人でも多くの人を救いたいと願うようになる。幼いとき漠然としていた「正義の味方」願望が、現実を目の当たりして、具体的な形へと成っていく。父親のような人間をすべて殺し尽くす。それは「魔術師殺し」として生きていく理由になるのと同時に、その道程こそ自らが犯した父親殺しの正しさの証明になる。

あるときナタリアのもとにひとつの依頼がやってきた。蜂を使い屍食鬼を増やす魔術師を殺害するというもの。以前取り逃がした因縁もあり、ナタリアはその魔術師を追ってジャンボジェットに乗り込んだ。そこで異常事態が起こる。魔術師を殺害したものの、体内に仕込まれていた蜂によって、300名ほどの乗員乗客全員が屍食鬼となってしまったのだ。そんな中コックピットまで辿り着いたナタリアは、なんとか空港に着陸しようとする。

何があろうと生き残る。
師の信条の完遂を、誰より願っていたのは切嗣だったろう。だが300もの屍食鬼を地上に解き放つことはできない。蜂一匹も地上に辿り着かせないためには、空港へ侵入する前、ミサイルの射程距離の範囲内で、ナタリアの乗った旅客機ごと撃ち落す。「なにをするべきか」切嗣にはわかっていた。ナタリアが屍食鬼を殺し尽くせなかった時点で、選択の余地はなくなった。

爆発し墜落する機体を見送りながら、切嗣は声を上げる。
このとき切嗣が滂沱の涙を流しているのが印象的だ。まだ魔術師殺しとして機械が完成する前という描写だろうか。父親が島を出て研究を続けていけばやがて同じ悲劇が繰り返されただろう。ナタリアを救うため旅客機の着陸を許せば地獄絵図が待っていただろう。そのどちらも回避できた。結果だけみれば、大勢の人たちから称賛される素晴らしい行為だ。だがその正しい行いは、大切な家族を殺すことを代償としている。

正義の味方になりたいと願った少年は、正義を為すための大きな対価を知った。
父を殺し、母のような人を殺してでも「正しさ」を選択した己を、切嗣は死ぬまで赦せないはずだ。だからこそ理想への歩みを止めるわけにはいかない。これまでの代償を正義のためだとするなら、すべてを投げ打ってでも進むほかはない。この日から、彼は魔術師殺しとして一人立ちする。紛争地域で傭兵まがいのことをするのも、きっとこのあとだ。自らを死地に追いやり、死ななくていい人間を一人でも救うため、無我夢中で戦いの日々に埋もれていく。


小説ではナタリアがどんな想いでいたのか、本当に生きて帰るつもりだったのか、全部わかった上で切嗣と話していたのではと考えていたのですが、今回死に際でナタリアが微笑んでいるように見えて、原作の切嗣はこれを知らないんだと思うと、なんもかも放り出して叫びたくなった。原作のパパさんもすごく切嗣のことを愛していて、ナタリアも切嗣のぜんぶを理解していて、アイリやイリヤ、舞弥、みんなから愛されてるくせに、そんな自分を赦せない切嗣ってのがやるせない・・・。切嗣の考察は、あとで死ぬほどやりたいと思っている。

☆話数は足りるのか
まだ原作で丸々1冊分残ってますけども。
うーん。綺礼や舞弥の心情のあたりはカットカットかなあ。
それでもぎゅうぎゅうになりそうな予感がします・・・。

☆魔術刻印と起源弾
苦しげに漏れる息とか呻き声とかエロかったなああああおおい(悶絶)
入野さんの声も良かったけど、小山さんボイスありがとおおおおなんというご褒美!!

2012年05月06日

F/Z18

これは、
なんというか、ひどい改変だった。

父親が魔術師として不穏な研究をしていることを切嗣は知っていた、というのが原作の大前提だった。だからこそケリィは、目前で死徒化するシャーレイにではなく、彼女が持っていた短剣に怯えたのだ。父親を殺すことを決意した彼は、ナタリアから借りた銃で凶行に至る。短剣を凶器として初めて認識して怯えた少年はもうそこにはいなかった。初恋の人を手に掛けられなかったこと、自分がすべての発端になった責任、これ以上地獄を生ませないために、少年は父親を殺す。思うに、大切な人を殺せなかったことで大勢の人々が死んでしまったこのとき、切嗣の中に天秤の原型が生まれたのではないだろうか。

家に戻った息子を父親が抱きしめるシーンもなくなってしまった。魔術師として探求に明け暮れていた父親だが、息子を愛しているとわかる大切な場面である。と同時に、憧れていた父親が、放っておけば同じ過ちを何度も繰り返すのだと、少年は納得してしまう。ならば殺すしかないと。厳格で無口な父親との穏やかな生活を思い出しながら、その父親を撃ち殺す。心と体を切り離すことに長けた切嗣の性質が明るみに出る瞬間だ。

シャーレイの台詞だけでは描写不足と言わざるを得ない。期待されその期待に応えようとした少年の心も、愛し愛されていた父と子のまぎれもない親子の情も欠けてしまった。原作の前提を削ったため、親子の関係性は希薄となり、切嗣の特殊な性質は不明瞭になり、アニメでは「凶行に及ぶ父親を自らの手で葬った」事実だけが残ることになった。

また、ナタリアの銃ではなくシャーレイの短剣を凶器としてしまったため、炎に包まれる村を見たときから切嗣は父親を殺す決意をしていたことになる。だとすると、シャーレイを殺せなかった罪滅ぼしの代わりか。そもそも何故苦しむシャーレイの前から、短剣を持って逃げたのか疑問も残る。初恋の人と父親の死は切嗣の中でワンセットだと思っている。代替えのきくことではないのだ・・・。

シャーレイを殺せなかった罰と、魔術師としての父親を殺した罪を抱えて、切嗣は天秤の担い手として生きるしか道がなかったと理解しているのだが、それも18話の改変によって、根幹から揺らぐことになりそうだ。今後、聖杯を前にして切嗣が取る行動も、彷徨いながら炎の中で彼が見ていたものも、これで大幅に意味が変わってしまうだろう。

父親殺しとナタリアとの共同生活を2話に分割するのは名案だと思ったけれど、切嗣の特殊な性質を描かないのなら、いくら話数をかけても意味はない。次回でそのあたりフォローが入るといいのだが・・・。ショックが大きすぎて、勢いで上げておく。冷静になったら上げ直すつもりだが、自信はない。


いやあもうね、海に飛び込む元気いっぱいのケリィとか、照れたり拗ねたり、くるくる表情が変わるケリィとか可愛くて可愛くて可愛くてほんぎゃー!ってなってましたよ正直!!床ゴロゴロしましたよ正直!! でも魔術師のお父さんが良くない研究をしてることに気づいてるけど世界を変える凄い人だと誇りと憧れに満ちていたのにそれでも殺すしかないと心に決めて、お父さんの亡骸を見て自分が泣いてることにも気づかなくて悲しいのか悔しいのかわかんなくて、縋るみたいに拳銃から手が離れなくて、「いい人なんだな」って吹っ切れたように笑顔をみせるケリィとかが観たかったんだよおおおおおおお!!くっそおおお

代行者さんと魔術師さんたちの華麗なる競演に飛び上がってしまった。
協会と教会の利権争いと聞いて思わず。どっちにしても皆殺しだなんて、代行者も魔術師も封印指定執行者も、どの組み合わせにしろ現場で鉢合わした日には大変なことになるね! そんな日々を10代の綺礼や切嗣が送ってたのかと想像するだけで燃えるうう

2012年05月01日

F/Z17

璃正神父が殺害された報告を受けた時臣。
協会の後ろ盾を失った彼は、アインツベルンへ共闘を申し入れる。璃正神父の死は、時臣の心中を大きく揺らしたようだ。妻と娘のいる禅城の家へわざわざ足を運び、父として遠坂の家主として、今遺せるものを娘にすべて与えようとする。

遠坂の提案に沿う形で、その夜教会を訪ねたのは、アイリと舞弥とセイバーだった。
遠坂からは時臣とアーチャー、言峰綺礼が参加。話し合いの結果、残るバーサーカーとライダーが消滅するまで共闘することが決められた。条件としてアイリは、ライダー陣営の情報提供と、言峰綺礼の聖杯戦争からの撤退を取り付ける。綺礼の単独行動を知らなかった時臣は驚きを隠せない。だが禍根と称されるほどの出来事の内容を、その意味を問うことはなかった。今後の展開を考えれば、アインツベルンとの協力関係は必須であり、たとえ優秀で勤勉で実直な弟子とはいえ、勝利には代えられない。

教会から帰る道すがら、アイリは自身の真実を舞弥へ明かした。
「聖杯の守り手」ではなく、「聖杯の器」そのものなのだと。器に美しいホムンクルスの姿を施したものであり、戦争を進むにつれ、人間の姿を止めておくことができなくなること。外装が剥がれ、器に戻っていくことを告げる。1期1話目で切嗣の言っていた「アイリ、君を死なせるはめになる」が、ようやくここで回収される。なぜ自分に明かすのかという問いに、苦しげな中でわずかに微笑んでみせるアイリの表情が良かった! 最期まで貴女を護る、どうか衛宮切嗣のために死んでくださいと言う舞弥に対して、ありがとうと返すアイリ。妻よりずっと長く共にいる愛人と、夫にすべてを与えて貰った妻。切嗣のために死ぬことを、二人はずっと昔から覚悟しており、それによって切嗣の願いが叶うなら、彼女たちにとってそれ以上の喜びはない。

綺礼は、この聖杯戦争で、長年探し求めてきた答えが見つかると確信している。反面、答えを知ったとき己が破滅するという予感もある。迷う素振りを見せている綺礼だが、とっくに彼の心は決まっていた。教会での会合から帰るアインツベルン勢を部下に尾行させていたのだ。綺礼は、まだ戦う気でいる。二度目に授けられた令呪だけではない。彼の右腕には、父親から受け継いだ保管令呪がいくつも刻まれている。
では時臣は敵であり、敵のサーヴァントと同室にいる今の状況は危険ではないかと嘯くギルガメッシュに、綺礼は時臣が隠していた聖杯戦争の真実を明かす。時臣の願い「根源の渦への到達」とは、7体すべての英霊の魂を器に満たすことで大聖杯を完成させ、そのとき生じる力で根源へ穴を空けることを指す。すなわち、他の6体を滅ぼしたあと、自らのサーヴァントを令呪によって自決させる必要がある。忠臣の礼を取りながら、時臣は最後に裏切りを計画していたというわけだ。

それまで退屈だと評してきた時臣に対する評価を、ギルガメッシュは見直すことにしたようだ。埠頭での令呪による強制撤退を覚えているはずだが、どこか余裕のある英雄王。令呪を持ちながらサーヴァントのいないマスターと、現在のマスターに退屈を隠せないサーヴァント。意思の揃った二人のやり取りは思わせぶりで回りくどくて際限なくいやらしい。

出立前の挨拶に訪れた綺礼を、時臣は歓迎した。
ここに至っても己が弟子の暗躍を、その胸中を察せぬまま、時臣は感謝の言葉を重ね、自らに万が一の場合の遺言状と、後見人として娘の凛を託す旨を伝える。さらに遠坂の魔導を習得し見習いを卒業した証として、アゾット剣を手渡した。このとき昼間という原作の設定に対して、画面全体がずいぶん暗いのが印象的だった。窓の外から届く青白い光が、時臣と綺礼の半身にかかっている。また磨き上げられた短剣の刃に、綺礼の双眸が映りこむカットといい、この場で起こる惨劇を盛り上げるアニメらしい表現だった。

アゾット剣によって、時臣を殺害した綺礼は、ギルガメッシュと新たな契約を結ぶ。
協会の監督役も不在の状況下、誰に知られるでなく、こうして密約は成された。

☆持てる者と持たざる者
世間一般で言われる、非人道的な所業を繰り返してきたキャスターや龍之介が、最期に救われ笑顔で死んでいったのに対して、魔術師として将来が約束されたケイネスや時臣が、その絶対的な強みを発揮させることなく無残な死を遂げ、騎士として正しく生きたランサーが理想を全うすることなく去っていく。前回のランサーとセイバーの戦いが煌めき美しかったように、理想の尊さをしっかりと描きながら、それを木端微塵に叩き折る。両極を行ったり来たりしながら、物語はすすむ。

☆言峰綺礼
うーん。奥さんと父親が死んだときの心理描写がカットされたことがやはり残念でならない。
時臣を刺す手口にしても確か、肋骨の隙間に刃を入れて心臓を一突きだったはず。絵的に動きが出せないのでアニメとして難しいのだろうけど、覚醒した綺礼の暴力的な部分ばかりクローズアップされるのはなんだか違う気がする・・・。誕生したての加減を知らない赤ん坊なイメージなんだろうか。完全に覚醒するのは、もう少しあとだったはずでは? これではすっかり外道神父ソン。
ただ禅城の家の前で遠坂一家の別れを、車中でじっと見つめてるシーンが良かった。なにを思っていたのか考えると楽しい。と同時に、父親を亡くしたばかりの綺礼の前で、家族との会話を続ける時臣はどこまでいっても時臣だなあと・・・。

☆根っからの貴族で魔術師、遠坂時臣
心理描写が無くなったことで株が上がった雁夜おじさんに対して、悪人になっちゃった感の時臣。特に今回は凛に会いにいくときも桜の回想すらなく、父親を亡くした弟子にフォローの言葉もなし。師の部屋を出て行く綺礼ですらこんなときでもちゃんと一礼していたというのに・・・。驚愕と苦痛に歪んだ死相といい、ずいぶんな仕打ちである。

今週も、ぎゅうぎゅうの30分だった。
個人的には、お姫さま役のアイリがいて騎士役のセイバーが映えるというか、アイリがいないとセイバー立場ねえなあオイ(アイリが昏倒してる間ずっと片膝立ちしてたの?足痺れるうう!)ってのと、舞弥とアイリの強い女っぷりにグっときた回だった。
作戦とはいえ、アイリたちが先陣きってる最中もホテルで盗聴してる切嗣が大変格好悪かった^^ でもそんな切嗣が好きだからしょうがない^^ ギルと綺礼の濃厚ないちゃつきについては他のお姉さまがたに任せる。

来週はショタ嗣の回ですよおお待ってたああああ!

2012年04月26日

F/Z16

キャスターの消滅を見ていたソラウの元に現れた舞弥。
彼女の仕事は、今やランサーのマスターとなったソラウから令呪を切り離し、無力化した上で切嗣のところまでソラウを連れ去ることだった。

キャスター討伐に関わったランサーのマスターとして、ケイネスは報酬の令呪を貰い受けるため冬木教会へ向かう。ようやく右手にひとつ令呪を戴いた彼は、他のマスターへ令呪が授与されることを防ぐため、璃正神父を殺害する。拳銃を使ったのは、魔術師らしからぬ痕跡を残すことで、犯行を他の人間に見せかける意図もあったのだろう。切嗣の手段を軽蔑していたケイネスが魔術師としてのプライドを捨ててまで成したことで、彼がどれほど追い詰められていたか想像に難くない。

ソラウが攫われたことを知ったケイネスは、戻ってきたランサー責める。
サーヴァントとしての力不足を詰るだけでなく、主君の許嫁を奪ったディルムッドの過去を持ち出し罵るケイネスの言葉に、さすがのランサーも憤りを隠せない。ランサーが怒りを抑え項垂れたそこへ、セイバーが戦いを挑みにやってくる。

ランサーVSセイバー。
互いに騎士として名乗り合い、己の信条を持って戦う二人の姿は、華やかで清々しい。神話のような昔話の時代であれば、それは真っ当な戦いであったと思う。王道ともいえる理想的な、騎士として誇りある戦い。だが、終わりは突如やってくる。切嗣の周到な計画によって。

そもそもセイバーとアイリがやって来たのは、ソラウから隠れ家を聞き出した切嗣の指示である。ランサー陣営のマスター及びサーヴァントを殺害・消滅するため、切嗣の立てた計画は恐ろしいものだった。捕えたソラウを使ってケイネスを脅し、今後切嗣がソラウとケイネスに対する殺害傷害を行わない契約を条件に、ケイネスの令呪によってランサーを自害させる。おそらくソラウを捕まえた時点でランサー陣営の内情を把握した上で、切嗣は確実な手段を選んだのだろう。そして、ランサーが消滅したあと、舞弥にソラウとケイネスを殺害させる。

突然の幕引きに、ランサーが呪いの言葉は吐く。
目と口から血を流し悪鬼の形相でセイバーを、切嗣を、ケイネスを睨みつけながら消えていくランサー。この形振り構わず叫ぶシーンが凄く好きだ。9話の感想でも書いたとおり、「誰も恨んでいない」とランサーが繰り返すたび不安だった。ケイネスの罵倒にすら怒りを抑え、無意識に自省してしまうランサーは、とても正しく誇り高い騎士だ。けれど大切に思い思われたい相手であれば、それなりの激情があって然るべきではないか。怒りにせよ憎しみにせよ、彼がディルムッドとして唯一心情を吐露する、とても意味深いシーンだと思う。

ケイネスにとってサーヴァントは使い魔でしかなかった。それも本来召喚するはずだったイスカンダルの代替だ。自らの不手際であれば彼も認めたかもしれない。ディルムッド個人への関心はソラウを経由するもの以外は端からなかったように思える。とはいえ、それはランサーも同じこと。彼がケイネスを慕っていたのは、ケイネスが「マスター」だからであって、「マスター」がケイネスである必要はなかった。この陣営はマスター、サーヴァントともに互いを個として認めていなかった。ケイネスは手段を優先し、ランサーは目的を優先させた結果、ひどく捩じれた関係しか築けなかった。

切嗣の行動に激怒するセイバー。
さすがに庇えないと声を尖らせるアイリに、語り聞かせるように切嗣は告げる。
戦いの手段に正邪があると説き、戦場に尊いものがあるように振る舞う英雄たち。栄光や名誉を得るのはほんの一部の人間だけであって、その他多くの人間が失い傷つき命を落とした代償の上で成り立っている。ルールがなければ戦場は地獄と化すと言うセイバーと、戦場はつねに地獄であり、あるのは絶望だけと考える切嗣。たとえ名乗り合い戦おうが、所詮殺し合いでしかない。必要悪という大義名分の下、多くの人々の血が流される現実を切嗣は憎んでいる。

最小限の犠牲で聖杯を手に入れ世界を救う。
悪を憎んで悪を為せばあとに残るのも悪だけだろうと告げるセイバーは、冷静さを取り戻していた。そのようすは、かつて一国を治めていた王としてというより、一人のサーヴァントとして切嗣を案じているようでもあった。だがそんなセイバーの言葉にも、切嗣は背を向けた。世界を救うためなら、全ての悪を担っても良いのだと。

切嗣の去った直後、それまで心配かけまいとして耐えていたアイリが倒れる。


☆ケイネスとディルムッド
マスターとサーヴァントには共通点がある、という認識でいたので、ずっと考えていたのだけど未だわからないまま。時間切れのためこのまま上げました。(が、またどこがで書きたいなあ) ディルの伝説をただ繰り返すだけじゃあんまりだよね・・・。

2012年04月16日

F/Z15

手詰まりの様相になりつつあった。
作戦を立て直すため、「王の軍勢」を展開するライダー。

数分間の猶予を得たところへ、切嗣から連絡が入る。
川辺から状況を把握している切嗣は、キャスター殲滅のための作戦を語る。さらに、事情を知らないウェイバーからの伝達という方法を使って、障害となっていたセイバーの左手親指の呪いを解く算段をつけていた。「セイバーの左手に対城宝具がある」とは、ランサーの呪いを受けたセイバーがそれを発動できずにいる、という意味だ。それを聞いたランサーは、宝具のひとつゲイ・ボウを自ら折り、セイバーの呪いを解いた。切嗣の思惑どおり、騎士の道に正しく在ろうとするランサーとセイバー。

ようやく、エクスカリバーのお目見えである。
清浄な光を纏う黄金の剣を手に、セイバーが宝具の名を高らかに告げる。光輝くその光景を、遠く離れた場所で見つめている時臣と切嗣の背中が印象的だった。聖杯問答ではライダーとアーチャーに否定されて終わったけれど、正しく在ろうとするセイバーの姿には掛け値なしの尊さがある。栄光とともに語り継がれた伝説と等しく、理想を追い続けた者だけが最期に目にすることを許される光。眩しいのは、黄金の剣だけではない。剣を振るう彼女の在り方そのものを示している。「約束された勝利の剣」とはよく言ったもの。

眩い光の中で、キャスターが呪いから晴れるように正気に返るところがいい。
かつてジル・ド・レイが救国のためともに戦ったジャンヌ・ダルクは、神に選ばれた少女だった。やがて祖国の英雄と祭り上げられ、最後は魔女として火炙りに処された。悲惨な伝説に似合わず、ステンドグラスを透過した光の中で微笑む彼女は、とても幸せそうだ。だからこそ、ジルは神を恨んだのだろう。自ら選んだ愛し子を救いもしない、魔導と鬼畜に堕ちた己を罰しもしない、無慈悲で残酷な神を呪っていた。自らが信じる全て、貴きものを貶め、辱めた人々を。だが、そんなことで彼らの得た祝福と栄光が消えて無くなってしまうことはない。「いかなる神にも穢せないもの」はさすがに綺麗すぎる気がするけれど、一人の騎士として最期を迎えられたジルは、幸福だったと思う。

時臣と雁夜の戦いは、あっという間に決着した。
1年そこそこの修練だけで繕った初心者の雁夜では、端から相手にならない。まして彼の扱う蟲と、遠坂の火を扱う魔術では相性も悪すぎた。炎に包まれビルから落下した雁夜は、放っておけばそのまま死んでいただろう。だが彼に治癒魔術をかけ救った人間がいた。言峰綺礼だ。

時臣の弟子として、師に聖杯を齎すため裏事を引き受けている綺礼には、バーサーカーのマスターの息の根を止める義務があった。しかし彼は瀕死の雁夜に延命を施した。切嗣を追い駆けて教会を抜け出していたのとは訳が違う。敵マスターを救うとは、すなわち時臣への謀反である。己の求めるもの、愉悦の在りどころを見定めるため、どうしても雁夜には生きていて貰わねばならない。雁夜を治療する綺礼の口元には、歪な笑みが浮かんでいた。

☆ジャンヌがああああ!!
菫色の瞳が美しい・・・。
聖処女とか、ジル、気持ちわかるうう・・・。
この後わが身に起こる悲劇的結末を知らぬが故の穏やかさとも言えるけど、あくまでもジルの目を通したジャンヌ像であって本当の彼女のことは誰にもわからないんだよね。もしかしたら火刑の際には激しく声を上げたかもしれないし。ただ、セイバーが騎士であろうとするのと同じくらい、聖人であろうとするその姿勢が美しく貴い。

☆エクスカリバー
ようやくセイバーの実力発揮。
2期にして、やっとマスターに実力を見せられたね、やったねセイバー!
snで初めて観たときも鳥肌だったけど、光の粒が収束していくさまは美しかったです。(最後まで求め抗った者だけに見ることが許された夢という点において、士郎とセイバーが見た光もその一部だったのかもしれない) そんなセイバーを「人の領分を超えた悲願に手を伸ばす愚か者」と呼び、その破滅を愛でようと、したり顔なギルガメッシュ。なんかもうこの王様っぷりがギャグにしか見えないのにはどうしたら・・・。

☆綺礼覚醒寸前
治癒魔術シーン待ってましたあああ。
綺礼の魔力に反応して、雁夜の体内の蟲が一斉に蠢くとか、思ったより暴力的な演出にビビった。もっとフワフワしたものかと想像していたのだけど、言峰さんに限ってそんなわけなかったねー。ぜひ代行者時代の彼も見てみたいものです。ここで笑うとは思わなかったので頭に血が上ってしまった・・・。口元に笑みを浮かべる綺礼が、普段の無表情な彼に比べて人間らしく見えるのは皮肉なこと。

2012年04月08日

F/Z14

3ヶ月のブランクなど無かったかのように始まった第14話。
以下、久し振りにと気合入れたらいつも以上に長文です。

セイバーとライダーの攻撃によって受けた傷を瞬く間に再生させながら、キャスターを取り込み巨大化した海魔は、少しづつ河岸へ近づいていく。幸いと言えるか、魔力により生じた濃霧が戦いのようすを隠していたが、河川敷には一般人の野次馬たちが集まり出しており、事の露見を避けられない状態になりつつあった。

遠坂時臣は、大惨事一歩手前のパニックを忌々しげに見つめていた。
魔術の秘匿が破られかけていることは勿論、冬木のセカンドオーナー「遠坂」の体面、地位すら危ぶまれるほどの事態であった。戦いに駆り出されたアーチャーは、眼下の醜悪なようすにすっかり興ざめしており、「乖離剣による海魔の消滅」を進言するマスター時臣の言葉を採り合おうともしない。冷めた英雄王と焦る時臣との温度差は、この陣営の状況を端的に表していた。打開策が見つからないところへ、追い打ちをかけるように、間桐雁夜が差し向けたバーサーカーが現れた。アーチャーとバーサーカーの空中戦が開始。

一方、時臣は敵マスターである間桐雁夜と相対する。
桜を間桐へ寄越したこと責める雁夜と、責められる理由が理解できない時臣。稀有な力を持つ二子を両方生かせる最良の手段を取れたこと、愛する我が子二人に魔術師として誉ある未来を約束できたことは、父として魔術師として誇るべきものであって、責められる謂れはまったくない。価値観のまったく違う二人の会話はどこまでも噛み合わない。向かい合う雁夜と時臣の距離感、それぞれの表情と背が並んでいるような構図は、決して交わらない二人を示しているようだ。

優雅が信条の時臣が侮蔑と怒りに声を上げるのが、この雁夜との対決である。
魔術を棄て、家督を棄てた雁夜を「裏切り者」と呼び、人としての責務を果たさない「人以下の犬」と切って捨てる。根源の渦を目指しブレない鋼の意思。魔術師は利己的であるというのは、一般の価値観からみた姿であって、遠坂の家督を継ぐ者として、業界全体を見据えた決断をつねに迫られ続けてきた時臣は、なんというか、魔術師として完成されすぎているのだろう。(愉悦に揺れることもないわけで、アーチャーにつまらないと言われるのも当然だ。) 間桐には臓硯がいるせいで曖昧になっているけれど、後継者の不在は、連綿と受け継がれてきた研究の断絶であり、その一門の魔道の終焉を意味する。小さい頃から厳しい修練を重ね、辛苦を舐めてきた時臣にとってみれば、雁夜の態度は「責任の放棄」に他ならない。自らの逃避を棚に上げて反省もしないなど、魔術師としてあってはならないことだった。だから彼は「誅を下す」と言ったのだ。

とまあ、こんな難しいことは置いておいて、時臣の両側に凛と桜と葵の姿が浮かぶシーンが、全てを物語っていると思う。時臣の言っていることが理解できない雁夜ですら幻視してしまうほど、時臣は彼女たちを愛している。これが映像の凄いところだな。

川では魔物と英霊の死闘、上空では自衛隊機と光る飛行物体が飛び回る。
大スペクタクルの饗宴に興奮し大声を上げる龍之介だったが、そこを闇に紛れた切嗣に狙われた。己の腹部から溢れ出す鮮血に、目を輝かせる。死について真実を欲していた龍之介が、最後に見つけたもの。原作にない台詞が追加されたのは良かった。(灯台下暗し・・・のあとは追加された部分のはず) 初めて実感する「死」に満ち足りた表情を浮かべて、彼は死んでいった。

巨大化した海魔を消滅するには、セイバーの対城宝具が必要だ。
ランサーの呪いによって封じられたセイバーの左手を取り戻し、それを発動させる。
河岸で狂乱を見つめながら切嗣が思いついた方法とは・・・。


☆新OP
前回の記事で楽曲については書いたので、今回は映像について。
夕焼けの中丘に佇むセイバー。大地に無数に刺さった剣はおそらく墓標。顔に浴びた血を拭いもせず茫然と丘に立つセイバーの姿は少女のままで、ひどく痛々しい。
水に泥に沈んでいく切嗣が意味深でよかった。アイリやイリヤに向ける微笑みは、どこか苦さのようなものが見え隠れしていてずっと気になっていたから。まるで幸福の中では息ができないとでも言うように、切嗣は苦しそうに笑う。そんな切嗣を抱きしめようと頬を寄せるアイリ。切嗣のことが愛しくて仕方ないと、彼女の表情が指先が告げている。
教会の中、像に向かって額づいていた顔を起こす綺礼に滾った。
彼の深い信仰心と切嗣に対する執着は、どちらも同じものを端にしていると個人的に考えているので、それに最後まで気づかず苦しむ綺礼が見たくて見たくて。のた打ち回ればいいよ。
各陣営マスターとサーヴァントについては、暗闇の中、夕日や月光に照らされてるものばかりだった。一期の表情まで捉えたカットに比べ、遠景で描かれているせいか物悲しい印象だ。象徴的だったのは、いつも明るさの中で描かれるライダーとウェイバー。彼らが暗闇でああしている姿は珍しい。

☆新ED
ドラマCD思い出してうわあああとなった。というくらい衛宮夫婦である!
生まれたてのアイリの腕を取っている切嗣は20歳くらい。若干顔が幼い(笑) アイリの胸に抱かれて顔を覆う切嗣は、どこか母と子のように見えてしまう。アニメのアイリはどこか聖母めいていて、原作の幼な妻的なイメージもいいけど、母性を強調した今の関係も捨てがたい。OPと合わせてみると胃のあたりがぎゅっとくる。

☆セイバーがまたしても空気
ネタ的においしいです。
お楽しみは来週に!

☆アーチャーVSバーサーカー
天の浮船とも評されるヴィマーナ。もっと箱のようなものをイメージしていたのだけど、大きな鳥のような外観でした。重力や動力を無視した、現行の飛行装置ではあり得ない滑らかな動き。F15J機と比較して見ると面白い。ヴィマーナとF15J機の空中戦は見応えあったけど、あの暴風の中、一糸乱れぬ英雄王の髪型の方が気になってwww

2012年04月07日

F/Z 二期放送直前

二期放送直前!
いてもたってもいられず叫んでおこう。

公式HP http://www.fate-zero.jp/

公式トップ絵が変わった。
綺礼がたいへんよい笑顔(笑)
覚醒直後の、まだわずかに若さを残している表情が、秀逸。


OPの月の光〜と聞くだけで膝が砕けそうになる。
一期のOPはFate/Zero全体を現していたけど、今度は完全に切嗣(というか衛宮)にテーマを絞っている。「始まりに至る物語」らしい素直な楽曲。UBWのMADと合わせられたものを聞いて、別のなにかを開いてしまいそうになった。
「きみの嘆きを信じて」という言い回しが好き。嘆きを叫んでいるだけだった一期との対比としても美しい。物語として怒涛の展開を迎えるわけだけど、一方でどんどん闇へ近づいていく面と、それに立ち向かおうとする力強さも併せ持つ後半のイメージを、よく表している気がする。

2012年03月09日

F/Z Blu‐rayBOX届いた

休日を利用して一気鑑賞した。色々気になることがあったので、また改めて1話から7話までレビューしたいと思っているのだけど、奈須さん脚本の特典映像があまりにも面白くて何度もリピートしてしまった。

元祖師弟コンビ!
ゼっちゃんがTちゃんでブルマなのはきっとそういうことですね。
これのお返しにイリヤをブルマにしたタイガーはいい仕事したと思う。金元さん(イカちゃんの中の人)がなかなか可愛い演技で、アイリでなくても、語尾につく「押忍!」に反応してしまうくらい許して欲しい。教師に向いてるとか、綺礼をもじゃ頭呼ばわりするゼっちゃん。怖いもの知らずはこの頃からか。ただしモジャるのは10年後だッ!

そんなゼっちゃんが若干引き気味になるくらいのアイリ→→→切嗣っぷり。ラジオマテリアルを彷彿とさせるほど「奥様はホムンクルス☆」なアイリだった。楽しそうでなによりです。びぃえる時空に続き、姉妹愛にも目覚めそうとか豪傑すぎる。実際あんみつ食べる二人を想像してにんまりしてしまうわけだが。

ザイード(2話目で死んだアサシン。名前あったんだっけ・・・)を挟んでぐるぐる回るアイリとゼっちゃん。このあたりは爆笑しっ放し。ツッコミどころ満載だった。黒いアイリも可愛い可愛い。snから出来たzeroを更にいじってる奈須さんという事実が堪りません。

そして安定の綺礼オチ(笑)
ジョージさんの名前はあれどいったいどこに?と思ったらそこか!
二期BOX特典が楽しみ。


本編をざっと観た感想としては、思ったほど綺礼がストーカーっぽくなくて良かったというか、肩透しというか(おい)・・・。もっと切嗣を追い駆けまわしてるイメージだったので。無表情な綺礼がうっかり可愛く見えてしまうのだから、人間の視覚ほど当てにならないものはないな。

レビューでも書いたキルガメッシュの物足りなさについては、追加シーンで補われていた。尺やら大人の事情で切られてしまった部分であって、補うというと言葉違いな気もするが、zeroのギルはどこか狂言回し的なところがあるので、それ故かなとか、つい穿った見方をしてしまいそうになる。それにしても・・・思ったとおり、セイバーを辱めるギルは最高でした。

2012年03月07日

F/Z 陣営別トークセッション

陣営別トークセッションも最後になりました。
現在視聴できるのは
第7回 遠坂時臣・アーチャー陣営です。
※stay night知っていれば問題ないレベルのですが、ネタバレがあります。

Fate/Zero アニメ公式HP http://www.fate-zero.jp/

速水さんに気を使いまくる力也さんと関智さんでした。
事故が起きなくて本当に良かった良かった(笑)

とはいえポロっと出てしまう下ネタにきゃっきゃしてる二人を、速水さんは優雅にスルー。真面目なジョージさんも凄かったけど、速水さんの地声はそれを超える凄まじい破壊力でした。小さな笑い声ひとつにまで独特の艶が・・・。思わず変な声出た。

そして安定の時臣師、うっかり属性発動である。
うん。誰もが思ってて口にしなかったことだよね・・・。

時臣師は「目の前で繰り広げられる謀議を座って観てた」そうですが、この陣営はやっぱり時臣とギル言なのだなあと。愉悦愉悦してるギルと綺礼の後ろのすみっっこ〜の方で、ぽつんとソファに座ってる時臣を想像して笑えた。おなか痛い。実は聞き分けのいいギルと、サーヴァントとしてギルは敬っていない時臣とか、それはそれで萌える。

女の子のファンにギルガメッシュをリクエストされて、「雑種!!」って言うと喜ばれるという関智さん。すごくよくわかります。千秋先輩とかね、上から目線の関智さんの声って気持ち良いんだもの。Mっ気のないtanizakiが感じるくらいだから相当だと思うんだ。


これにて全陣営が終了。
トークセッションはどこかで収録されるんだろうか。メタ的なものも含め、みんなでワイワイやってるところが観たかったので大変満足しております。お祭り気分でとても楽しかった。あとは二期BD-BOXの特典に期待する(笑)

2012年02月26日

F/Z 陣営別トークセッション

現在視聴できるのは
第6回 雨生龍之介・キャスター陣営です。

Fate/Zero アニメ公式HP http://www.fate-zero.jp/

第3回 ケイネス・ランサー陣営
第4回 ウェイバー・ライダー陣営
第5回 間桐雁夜・バーサーカー陣営

ランサー緑川さんの「取りに行かせても〜らう☆」で吹いて、大詰めのアフレコ終了直後のすべてを出し切ったようなライダー大塚さんに思わずしんみり、まさかのバーサーカー「顔よりも先に声出ちゃった」回に驚き・・・。ようやくやってまいりました! 待望のキャスター陣営です。

石田さんの地声がとにかく若い。
オープニングから飛ばしまくりで終始楽しそう。

「ジャンヌしか見てない」「セイバーすら見てない」「マスターとすら会話になってない」ジルの狂人ぷりを、冷静に見てる鶴岡さん。F/Zの中では若手の声優さんらしく、真面目に誠実にキャラと向き合ってる感じがして好感が持てる。ライダー陣営のCM完コピが熱かった。本当にライダーが好きなんだなあ。ジャンヌ映像化に期待しよう。

つかね!
みんな大好きジル鶴岡
なとこへもって、ようやく本家登場とか、期待するなって方が無理でしょ?

「凛ちゃん」って呼んでるのね石田さん。
何度か書いてる気がするけど、先天的なキ印でいながら好青年な龍之介って、すごく複雑な役どころで、しかも複雑に見せちゃいけない。求めるものがあって、それを得るためのセンスを持っていて、良くも悪くも出来上がってしまった人。それが雨生龍之介だ。彼が初めて人を手にかけたとき、そのもっと前から、ある意味完成された人格で。石田さんの龍之介はそれがすべて内包されている気がする。

アイリ・切嗣のものまねは是非逆で聴きたかったデス。

旦那を応援する龍ちゃん。
くそおおおおおかわいいい!!


それにしても・・・
ここまで切嗣を欠片も出さない力也さん。
格好良い切嗣しばらく聞いてないなあああ。

最終回は、下ネタ王関智さんと速水さん。
一回で良いから真面目に英雄王の話してくれないかなあ・・・。

2012年02月11日

F/sn24(最終回)

Fate/stay night #24「全て遠き理想郷」

※前提※
アニメZeroから入って小説読了。
再放送が始まったstay nightについて。
相互関係によってどちらにとっても盛大なネタバレとなります。



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2012年02月07日

F/sn23

Fate/stay night #23「聖杯」

※前提※
アニメZeroから入って小説読了。
再放送が始まったstay nightについて。
相互関係によってどちらにとっても盛大なネタバレとなります。



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